A社の100%子会社であるB社と特に出資関係を有しないC社との間で、B社を株式交換完全親法人とする株式交換を予定しています(A社、B社及びC社はいずれも株式会社です。)。
この株式交換は、C社の株主に交付する株式交換の対価をB社株式ではなく、B社の親会社の株式であるA社株式とするいわゆる「三角株式交換」により行うことを予定していますが、株式交換の対価をB社株式とする通常の株式交換の場合と「三角株式交換」の場合とでは、適格株式交換に該当するための要件に異なる点はあるのでしょうか。
株式交換の対価は異りますが、適格株式交換に該当するための要件に、原則として、異なる点はありません。
(理由)
1 株式会社が行う株式交換が適格株式交換に該当するためには、株式交換完全親法人と株式交換完全子法人との関係が、完全支配関係、支配関係又はそれ以外の関係のいずれに当たるかによってそれぞれ定められた要件(法法2十二の十六イ〜ハ)を満たすとともに、これらの関係に共通して定められた要件(法法2十二の十六柱書き)を満たす必要があります。
このうち、これらの関係に共通して定められた要件は、株式交換完全子法人の株主に、次に掲げる株式のいずれか一方の株式以外の資産が交付されないこととされており(法法2十二の十六柱書き)、いわゆる「三角株式交換」の場合には、の株式以外の資産が交付されないことが要件となります。
2 これに対して、株式交換完全親法人と株式交換完全子法人との関係ごとに定められた要件は、いわゆる「三角株式交換」であるか、それ以外の株式交換であるかにかかわらず定められた要件であり、いわゆる「三角株式交換」であることをもって異なる要件が定められているわけではありません。
(注) 株式交換完全親法人と株式交換完全子法人との関係が、完全支配関係及び支配関係のいずれにも当たらない「それ以外の関係」である場合における適格要件のうちに、株式交換の対価である株式を継続保有する見込みの者が保有する株式交換完全子法人の株式の割合により判定する要件があり(法令4の3五)、この判定において、いわゆる「三角株式交換」への対応がなされています。具体的には、通常の株式交換において株式交換完全親法人が株式交換完全子法人の株主である場合には、株式交換完全親法人を「継続保有することが見込まれる者」に含めることとされており、いわゆる「三角株式交換」においても株式交換完全支配親法人が株式交換完全子法人の株主である場合には、株式交換完全支配親法人を「継続保有することが見込まれる者」に含めて判定することとされているものであり、実質的に要件が異なるものではありません。
3 したがって、いわゆる「三角株式交換」の場合には、株式交換の対価が株式交換完全支配親法人株式に限られる点は異なりますが、いわゆる「三角株式交換」とそれ以外の株式交換の間で適格株式交換に該当するための要件に、原則として、異なる点はありません。
4 なお、参考までに適格株式交換に該当するための要件を定めた規定は、次のとおりです(法法2十二の十六)。
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一〜十二の十五 (省略)
十二の十六 適格株式交換 次のいずれかに該当する株式交換で株式交換完全子法人の株主に株式交換完全親法人の株式又は株式交換完全支配親法人株式(株式交換完全親法人との間に当該株式交換完全親法人の発行済株式等の全部を保有する関係として政令で定める関係がある法人の株式をいう。)のいずれか一方の株式以外の資産(当該株主に対する剰余金の配当として交付される金銭その他の資産及び株式交換に反対する当該株主に対するその買取請求に基づく対価として交付される金銭その他の資産を除く。)が交付されないものをいう。
法人税法第2条第12号の16
法人税法施行令第4条の3第16項第5号
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
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