1. 事実関係
【分割前】
【分割後】
A社及びB社は、甲によって株式を100%保有される関係にある。
A社は事業の一部を分割し、B社はこれを承継する。
B社は、本件分割に伴いB社の株式をA社に交付する。
A社は甲に対してのB社株式を剰余金の配当として交付する。
甲は、交付されたB社の株式を継続して保有する見込みである。
甲は、本件分割後にA社の株式の51%を乙(A社の代表取締役)に譲渡する見込みである。
甲と乙とに親族関係はない。
2. 照会事項
分割法人A社と分割承継法人B社は、分割前に甲(同一の者)によってそれぞれの発行済株式の100%を保有される関係にありますが、本件分割後に甲においてA社株式51%の譲渡を予定していることから、100%のグループ内の適格要件、50%超のグループ内の適格要件のいずれの要件も満たさないこととなります(法令4の3二、4の3二)。
このような場合には、共同事業要件を満たすかどうかにより適格判定を行うことになりますが、甲がA社株式の譲渡を予定していることから、共同事業要件のうちの株式継続保有要件を満たさないことになるのでしょうか(法令4の3六イ)。
甲は分割承継法人B社の株式の全部を継続して保有する見込みであることから、例え、甲において分割後に分割法人A社の株式を譲渡することが予定されていたとしても、株式継続保有要件を満たすか否かの判断に影響を及ぼすものではありません。
(理由)
1. 共同事業要件における株式継続保有要件については、分社型分割と分割型分割とで差異が設けられており、分割型分割の場合には、「分割型分割の直前の当該分割法人の株主等で当該分割型分割により交付を受ける分割承継法人の株式又は分割承継親法人株式のいずれか一方の株式の全部を継続して保有することが見込まれる者並びに当該分割型分割に係る分割承継法人及び当該分割型分割に係る他の分割法人が有する当該分割法人の株式の数を合計した数が当該分割法人の発行済株式等の80%以上であること」(株式継続保有要件)という要件となっています(法令4の3六イ)。
この要件を満たすためには、分割法人の株主のうちその分割型分割により交付を受ける分割承継法人の株式又は分割承継親法人株式のいずれか一方の株式の全部を継続して保有することが見込まれる者並びに分割承継法人及び他の分割法人が有する分割法人の株式の数の合計がその分割法人の発行済株式の80%以上となる必要がありますので、交付を受ける分割承継法人の株式又は分割承継親法人株式のいずれか一方の株式のうち1株でも手放すことが見込まれる者は、「分割法人の発行済株式の80%以上の保有」判定を行うための対象者には該当しないこととなります。
また、この継続して保有することが見込まれる者かどうかの判断については、分割の時を基準に考えることとなります。
2. 本件の場合、分割法人A社の株主である甲は、本件分割後においても分割により交付を受ける分割承継法人B社株式の全部を継続して保有する見込みであり、また、分割時点において分割法人A社の株式を100%保有していることから、上記株式継続保有要件を満たすこととなります。
法人税法第2条第12号の11ハ
法人税法施行令第4条の3第6項第2号、第7項第2号、第8項第6号イ
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hojin/33/07.htm
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