重加算税の賦課要件たる隠ぺい又は仮装の行為者は、納税義務者たる法人の代表者に限定されるものではなく、その役員又は従業員等で経営に参画していると認められる者が隠ぺい又は仮装をし、かつ、代表者がそれに基づき過少申告した場合は、当該法人が重加算税の負担を受けるべきであり、このことは、当該法人の代表者が納税申告するに当たり、隠ぺい又は仮装行為を知っていたか否かによって左右されるものではない。
ところで、売上データを改ざんし、売上金の除外をした本件従業員は、請求人が経営するパチンコ店のフロアー責任者として、同店のコンピュータの操作、台の入替え、景品の管理、従業員の採用及び給与の計算等の一切を任され、確定申告書等の「経理責任者自署押印」欄に記名・押印していること、請求人の代表者はP市内在住の医師であって、パチンコ業については全くの素人であり、同店所在のQ市には年に1ないし2回程度しか来ていないことが認められる。
以上のことから、本件従業員は経理責任者等として請求人の経営に参画していたものと認められ、このような地位にあった従業員が売上金等の管理を担当し、故意に売上金の一部を除外したものである以上、それが同人の私的利益を図るために行われたものであり、また、それを代表者が知らなかったとしても、当該従業員の行為は、請求人の行為と同一視すべきであって、請求人に対して重加算税を賦課した原処分は適法である。
平成11年7月1日裁決
※最大20件まで表示
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。
*ご利用にあたっては利用規約を必ずご確認ください