請求人は、E社が発行する株式及び新株予約権等に投資することを目的とする民法上の組合である本件組合の非業務執行組合員であるが、本件組合契約における出資金1口当たりの単価は、本件組合が新株予約権の発行に際して払い込みをなすべき額と、その行使に際し払い込みをなすべき額との合計額と同額であり、一方請求人を含む各組合員は、当初本件組合に払い込むべき出資金を払い込み、その後各組合員が個々に新株予約権の行使を希望する都度に残額を払い込むことが求められ、さらに、本件組合は、出資金の全額が払い込まれた場合には、組合財産の運用、組合財産の分配についての業務執行組合員の判断にかかわらず、新株予約権を直ちに行使し、発行された株式を当該組合員に現物分配することとされ、実際にもそのように現物分配していることからすれば、本件組合への新株予約権の割り当て時点において、事実上その出資口数に応じた新株予約権にかかる権利義務が請求人に帰属したものと認められる。
新株予約権の取得に係る利益は、既に確定している請求人の出資口数に相当する新株予約権と一体となった利益で、請求人に帰属する固有の利益であり、本件組合からの分配を経由しない利益として法人税法第22条第2項に基づき益金の額に算入すべきであり、法人税基本通達14−1−1の2が定める組合事業に関する利益金額又は損失金額のうち分配割合に応じて利益を受けるべき金額又は損失の負担をすべき金額(帰属損益額)に該当するものではない。
したがって、新株予約権の取得に係る利益について、法人税基本通達14−1−1の2ただし書きが適用される余地はなく、請求人が同通達ただし書きの適用があると理解し、当該利益を新株予約権を取得した事業年度の益金の額に算入せず確定申告をしたことは、税法の不知や法令解釈の誤解など請求人自身の事情に基づくものであるから、国税通則法第65条第4項に規定する「正当な理由」があるとは認められない。
平成20年7月24日裁決
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