請求人は建造引当権に関する国税庁長官通達は法令に当たらず、請求人において不知のものであったから過少申告をしたことにつき通則法第65条第4項の「正当な理由」がある旨主張するが、同通達は措置法第65条の7第1項に掲げる表の第16号又は17号にいう「船舶」に関して、建造引当権が船舶に当たらないとの解釈を示したもの(解釈通達)とみるのが相当であり、国税庁において法令にない取扱いを新たに示したものと見ることはできないし、同通達に従った税務処理は納税者が税法の規定に従って当然になすべき処理と一致している。また、通則法第65条第4項に規定する「正当な理由」とは、災害その他納税者の責めに帰することができない真にやむを得ない事由をいうものであり、納税者の法令の不知や誤解はこれに当たらないものと解されるから、本件においては、上記「正当な理由」があるとはいえない。
さらに、請求人は調査担当者の具体的な指摘前に自発的に修正申告をしたから通則法第65条第5項に該当する旨主張するが、同項にいう「調査」とは所得金額の計算の基礎となった事実や法令の解釈適用に係る誤りの個別具体的な指摘を意味するものでなく、これらの有無を確認する目的でする質問、検査等のすべてを意味するもの、すなわち調査全般を指すものであり、本件においては、調査担当者が請求人の関与税理士に請求人の法人税の調査を行う旨事前通知し、請求人の本店において請求人の帳簿の検査等を行った事実があるから上記「調査」があったことになる。また、本件においては上記帳簿の検査のみならず、建造引当権の処理についての問答がなされている事実及び請求人が建造引当権に係る正当な税務処理を承知していた事実が認められるから、請求人は「更正があるべきことを予知して」いたと推認でき、通則法第65条第5項の規定は適用できない。
平成5年3月24日裁決
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