国税通則法第46条第2項の規定に基づく納税の猶予制度は、一定の事由により納付困難となった納税者を救済するものであるとしても、それは他の一般の納税者との租税負担の公平の実現の上において認められる納税者救済制度であるから、納税の猶予を申請した納税者が、他の一般の納税者からみても、納税の猶予を相当とする程度の状態にあることが必要であると解するのが相当であり、同項第4号が「著しい損失を受けたこと」と規定していることも併せ考えると、同項第5号に規定する「第4号に該当する事実に類する事実」について定めた猶予取扱要領の第2章第1節1の(3)のヘの(ハ)にいう「売上げの減少等」とは、その売上げの減少等が著しい状態にあることが必要と解される。
これを本件についてみると、原処分庁における審査過程において、請求人の妻は原処分庁に対し、平成17年1月から平成18年3月までの各月別の売上金額に関する資料を提出しているが、平成16年分の売上金額に関する資料は提出していないことから、原処分庁は、提出された資料では売上金額が前年より減少した事実を確認することができないので、同項第4号に類する事実がないと判断したものであり、その判断は当審判所においても相当と認められる。
また、請求人から当審判所に提出された資料によれば、売上金額は前年より増加しており、売上げが減少している事実が認められない以上、猶予取扱要領の第2章第1節1の(3)のヘの(ハ)にいう「売上げの減少等の影響を受けた」と認めることはできない。
平成19年10月18日裁決
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