《ポイント》 本事例は、請求人が当事者となっている訴訟に関して成立した裁判上の和解が、いわゆる「馴れ合い訴訟」の結果であるとはいえないとしたものである。
《要旨》 原処分庁は、受遺者である請求人が被相続人から遺贈により取得したとして相続税の修正申告に計上した各土地(本件各土地)について、請求人、R社及び相続人の間で成立した、平成13年頃に被相続人からR社に譲渡されたもので被相続人の遺産を構成しない旨を確認した裁判上の和解(本件和解)は、当事者が租税回避目的等から馴れ合いと評価されるような和解をしたにすぎず、国税通則法第23条《更正の請求》第2項第1号かっこ書に規定する和解に該当しない旨主張する。
しかしながら、本件各土地の一部には請求人の兄名義の居宅が存在すること、平成13年にR社を権利者とする所有権移転請求権仮登記がされていること、売買代金に相当する金員が貸付金名目でR社等から被相続人に交付されていることからすれば、本件各土地が、被相続人の遺産を構成しないことを確認した本件和解の内容について、証拠等からうかがわれる客観的事実関係に明らかに反していると認めるに足らない。そうすると、本件和解は、相続開始時に所有権の帰属に関して当事者間に争いのあった本件各土地について、平成13年頃に被相続人からR社に対して譲渡されていたことが相応の根拠をもって認められ、実質的にみても客観的、合理的根拠を欠くということはできない。したがって、本件和解は、国税通則法第23条第2項第1号かっこ書に規定する和解に該当するというべきである。
《参照条文等》 国税通則法第23条第2項第1号
《参考判決・裁決》 名古屋高裁平成2年7月18日判決(税資180号85頁)
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