請求人は、本件特例の適用を受けようとする遺産が未分割であることについて、相続人が関係していた法人と原処分庁との間の訴訟が係属中であること、請求人は、自ら当事者となっている訴訟事件7件、雑事件10件、その他9件を抱えて多忙であったこと、遺産の一部については分割を了するなど、請求人は分割協議の完了に努力していること及び共同相続人のうちの1名が病気のため通院加療中であったことから同人に配慮する必要があったこととのやむを得ない事由が存在するので、原処分は違法であると主張する。
しかしながら、請求人が主張する事由は、いずれも租税特別措置法施行令第40条の2第12項で準用する相続税法施行令第4条の2第1項第1号ないし第3号に規定する本件相続に関する訴えの提起、和解、調停の申立て等の事由には該当しない。また、同項第4号に規定する「税務署長においてやむを得ない事情がある場合」については、個々の具体的事例に即し、税務署長が客観的な事実に基づいて認定することとなり、その判断のよりどころとして相続税法基本通達19の2−15(以下「本件通達」という。)において例示を掲げているところ、その取扱いは相当であると認められるので、請求人が主張する上記事情について、これに照らして判断すると次のとおりである。
ないしの事情は、当該事情が未分割の前提としてあったとしても、いずれも本件通達に定めるような客観的に遺産分割ができないと認められる事情には該当しない。
また、の事情は、共同相続人のうちの1名が病気療養中であったとはいえ精神的又は身体の重度の障害疾病のため遺産分割ができなかったとはいえず、本件通達に定めるような客観的に遺産分割ができないと認められる事情には該当しない。
以上のとおり、本件特例の適用を受けようとする遺産が未分割であることについて、相続税法施行令第4条の2第1項各号に規定するやむを得ない事情があったとは認められないから、本件却下処分に違法はない。
平成19年5月15日裁決
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