請求人らは、本件出資の評価について売買実例価額により評価すべきである旨主張するが、その価額は、譲渡人及び譲受人の双方が共に本件組合の組合員という限定された市場において成立した稀少な事例であり、しかも当該売買実例価額が客観的な交換価値を反映したものと認めるに足りる証拠もないので、この価額を本件出資の時価として採用することはできない。
本件組合は、人格のない社団としての実体を備えていると認められるところ、評価通達には、人格のない社団の出資の評価方法についての定めがないことから、同通達5の定めにより、同通達に定める評価方法に準じて評価することになる。
そこで、さらに具体的に本件出資の評価方法について検討すると、本件組合の財産及び債務は団体たる本件組合に帰属し、構成員たる組合員が個々の組合財産等について持分権や分割請求権を有していないことにかんがみると、本件出資の価額は、法人格を有する団体に係る株式や出資についての評価方法の定めを準用して評価するのが合理的であると認められる。
そうすると、法人格を有する団体に係る株式や出資の評価方法については、評価通達169ないし196に定められているが、本件組合の事業目的や各組合員の有する議決権数からみて、企業組合、漁業生産組合その他これに類似する組合等に対する出資の評価方法を定めた評価通達196の定め(純資産価額方式)を準用して評価するのが、本件組合の性格に照らして最も合理的な評価方法であると認められる。
なお、人格のない社団については、清算所得に対する法人税等の課税は行われないから、本件組合の純資産価額を計算するに当たっては、評価差額に対する法人税等相当額を控除することは相当でない。
平成11年11月11日裁決
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