《要旨》 請求人は、請求人以外の相続人が相続財産を隠蔽したことにより、相続財産はほとんどないものという誤った認識に陥った上、当該認識に基づき、遺産分割協議に合意(本件遺産分割協議)したものであるから、本件遺産分割協議は無効である旨主張する。
しかしながら、請求人の主張は、本件遺産分割協議において表示された法的効果を発生させようとする意思(効果意思)を形成する前段階の理由(動機)の錯誤をいうものと解されるところ、請求人が、遺産分割協議書の原案を作成し、遺産分割協議の成立後に判明した相続財産については一定の分割割合で各相続人が取得する旨の条項を加えるよう申し出たことから、本件遺産分割協議に係る遺産分割協議書にその旨の記載がなされたのであり、後に判明した相続財産の価額によっては、当該分割割合や本件遺産分割協議そのものを見直すなどの本件遺産分割協議に係る合意を留保する旨の特段の定めも設けられていないことからすると、請求人は、本件遺産分割協議の成立後に相続財産が判明する事態があり得ることを想定していたと認められ、相続財産はほとんどないものという認識に陥っていたとはいえない。したがって、本件遺産分割協議の成立後に、相続財産が判明したとしても、本件遺産分割協議への合意に至る動機に錯誤はないので、本件遺産分割協議が無効とは認められない。
《参考条文》 民法第95条
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