《ポイント》 本事例は、遺産の全部を特定の相続人に「相続させる」旨の遺言が相続分の指定としての性質を有するとの解釈を前提に、請求人に指定された相続分は全部であるとの認定の下、葬式費用の負担額について認定したものである。
《要旨》 原処分庁は、本件相続における葬式費用(本件葬式費用)は、請求人以外の相続人により支払われていることから、当該相続人の課税価格の計算上控除すべきである旨主張する。
しかしながら、相続税法第13条第1項《債務控除》は、相続又は遺贈により取得した財産について課税価格に算入すべき価額は、当該財産の価額から被相続人に係る葬式費用等のうちその者の負担に属する部分の金額を控除した金額による旨規定し、相続税法基本通達13−3《その者の負担に属する部分の金額》は、その者の実際に負担する金額が確定していないときは、民法第900条《法定相続分》から902条《遺言による相続分の指定》までの規定による相続分又は包括遺贈の割合に応じて負担する金額とする旨定めているところ、本件葬式費用については、請求人と当該相続人との間で負担額が確定しておらず、遺言により請求人の相続分が指定されていることから、当該指定された相続分に応じ、その全額を請求人の課税価格の計算上控除するのが相当である。
《参照条文等》 相続税法基本通達13−3
《参考判決・裁決》 最高裁平成21年3月24日第三小法廷判決(民集63巻3号427頁)
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