事業関連性要件における相互に関連するものについて|法人税
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
A社は、主として事務用品の製造卸売業を営む法人ですが、この度、主として当社の製品を中心に販売している資本関係のないB社を吸収合併し、流通過程の合理化を目指すことを検討しています。このような資本関係のない法人間で行う合併については、共同事業要件を満たせば適格合併に該当することになりますが、この共同事業要件のうち事業が「相互に関連するものであること」という要件についてはどのように考えればよいのでしょうか。
【回答要旨】
合併において被合併法人と合併法人との間に50%超の保有関係がない場合に共同事業要件に該当すれば適格合併に該当することとなりますが、この共同事業要件のうちの1つとして、被合併法人の被合併事業と合併法人の合併事業とが相互に関連するものであることという事業関連性要件(令4の3一、規3)が規定されています。
この事業関連性要件における被合併法人の被合併事業とは、被合併法人が合併前に営む主要な事業のうちのいずれかの事業をいう(令4の3一カッコ書)こととされ、また、合併法人の合併事業とは、合併法人が合併前に営む事業のうちのいずれかの事業をいう(令4の3一カッコ書)こととされています。
したがって、被合併事業については、合併前に営む主要な事業であることが要求されていますが、合併事業については、合併前に営む事業のうちのいずれかの事業とされていますので主要な事業であることは要求されていません。また、被合併事業について、合併前に営む主要な事業のうちのいずれかの事業とされていますので、主要な事業が複数存在することが想定されています。
ただし、新設合併の場合には、合併法人は合併前に存在せず、その合併によって設立されますので、被合併法人同士の被合併事業について相互に関連するものであることが求められており、それぞれの被合併法人の主要な事業のうちのいずれかの事業が関連性を有していなくてはならないこととなります。
この事業が「相互に関連するものであること」というのは、例えば、「○×小売業と○×小売業というように同種の事業を営んでいるもの」、「製薬業における製造と販売のように、その業態が異なっても薬という同一の製品の製造と販売を行うなど、それぞれの事業が関連するもの」、「それぞれの事業が合併後において、合併法人において一体として営まれている現状にあるもの」などがこれに該当すると考えられます。
ご照会の場合は、事務用品の製造卸売業を営む合併法人と事務用品の販売業を営む被合併法人が合併することによって、それぞれの事業が一体となってユーザーに直結した流通網の構築を目指して合理化を図るもの(何らかの相乗効果が生ずるようなもの)となっていることから、事業関連性があるものと考えられます。
【関係法令通達】
法人税法施行令第4条の3第4項第1号
法人税法施行規則第3条
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hojin/33/02.htm
関連する質疑応答事例(法人税)
- 支援方法が異なる場合の支援者の範囲の相当性
- 定期給与の額を改定した場合の損金不算入額(定期同額給与)
- 経営危機に陥っていない子会社等に対する支援
- ゴルフ会員権の預託金の一部が切り捨てられた場合の取扱い
- 事業者がISO9000を取得するために審査登録機関に支払う手数料の税務上の取扱いについて
- 医療保健業の範囲(健康診断等)
- 交換と売買とが併せて行われた場合の取扱い
- 買換資産が分譲マンションの複数の専有部分(部屋)である場合の面積要件の判定
- 無対価合併に係る適格判定について(株主が個人である場合)
- 新設合併の登記が遅れた場合の取扱いについて
- 中間納付事業税の還付金
- 解約返戻金のない定期保険の取扱い
- 収益事業から非収益事業に係る指定寄附金として振り替えた場合の取扱いについて
- 損失負担(支援)割合の合理性
- 生産性向上設備投資促進税制(租税特別措置法第42条の12の5)の適用対象資産を2以上取得した場合の特別償却と税額控除の選択適用
- 適格合併により移転を受けた減価償却資産に係る耐用年数
- 通信販売により生じた売掛債権の貸倒れ
- 短期前払費用の取扱いについて
- 特定調停において利息の棚上げが行われた場合
- 退職金共済掛金等の損金算入
項目別に質疑応答事例を調べる
当コンテンツは、国税庁ホームページ利用規約に基づき、国税庁:質疑応答事例のデータを利用して作成されています。