所得税決定処分取消等請求事件|平成25(行ウ)20
[所得税法][一時所得][雑所得][国税通則法]に関する行政事件裁判例(裁判所)。
行政事件裁判例(裁判所)
平成26年10月2日 [所得税法][一時所得][雑所得][国税通則法]判示事項
1 所得税法34条1項にいう「営利を目的とする継続的行為から生じた所得」に当たるとされた事例2 所得税法37条1項にいう「当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額」に,継続的な馬券購入行為における外れ馬券の購入費用の額が当たるとされた事例
3 国税通則法66条1項ただし書にいう「正当な理由」に当たらないとされた事例
裁判要旨
1 一般的な馬券購入行為と異なり,もっぱら回収率に注目し,多数のレースにおいて多種類の馬券を継続的に購入することによって,個別のレースにおける当たり外れの偶然性の要素による影響を抑え,想定した回収率に近づけて収支を安定させ,総体として利益を獲得しようとする意図の下,実際に,新馬戦及び障害レースを除いたレースのうち,少ない年でも6割強,多い年であれば9割強のレースにおいて,多数の馬券を購入することが常態化している等の判示事情の下においては,個々のレースの枠を超えた多数のレースにおける継続的な馬券の購入という,一連の継続的行為が,総体として,恒常的に所得を生じさせているものといえるから,そのような馬券購入行為によって得られた馬券の払戻金は,所得税法34条1項にいう「営利を目的とする継続的行為から生じた所得」に当たるため,一時所得には当たらず,雑所得に区分されるものと解するのが相当であるとして,これを一時所得としてされた更正処分ないし決定処分が一部取り消された事例2 一般的な馬券購入行為と異なり,もっぱら回収率に注目し,多数のレースにおいて多種類の馬券を継続的に購入することによって,個別のレースにおける当たり外れの偶然性の要素による影響を抑え,想定した回収率に近づけて収支を安定させ,総体として利益を獲得しようとする意図の下,実際に,新馬戦及び障害レースを除いたレースのうち,少ない年でも6割強,多い年であれば9割強のレースにおいて,多数の馬券を購入することが常態化している等の判示事情の下においては,当該継続的馬券購入によって得られた配当金に係る雑所得の計算において必要経費として控除されるのは,外れ馬券をも含めた馬券の総購入金額となるとして,的中馬券の購入費用のみを控除すべきとした更正処分ないし決定処分が一部取り消された事例
3 馬券の払戻金に係る所得について申告しなければならないことを原告は認識していた等の判示事情の下においては,当該所得の計算において控除される経費等の金額の範囲が実務上定まっておらず,かつ,外れ馬券の購入金額についても控除されるとの自己の見解に従って申告した場合には単純無申告犯よりも重い過少申告ほ脱犯の罪責を問われる可能性があったこと,課税庁が課税区分等の取扱いについて周知等をしていなかったこと,原告は馬券の払戻金に係る所得を申告せずに問題となったケースを見つけられなかったこと等の原告が主張する申告をしなかった理由は,いずれも,国税通則法66条1項ただし書が規定する「正当な理由」には当たらないとされた事例
- 裁判所名
- 大阪地方裁判所
- 事件番号
- 平成25(行ウ)20
- 事件名
- 所得税決定処分取消等請求事件
- 裁判年月日
- 平成26年10月2日
- 分野
- 全文
- 全文(PDF)
- 裁判所:行政事件裁判例
- 所得税決定処分取消等請求事件|平成25(行ウ)20
関連するカテゴリー
関連する裁決事例(所得税法>一時所得>雑所得>国税通則法)
- 相続人間において相続財産の帰属について係争中である場合でも、国税通則法第65条“過少申告加算税”第4項の「正当な理由」があるとはいえないとした事例
- 収支内訳書に虚偽記載をしただけでは、隠ぺい仮装があったとは認められないと判断した事例(平成20年分〜平成23年分の所得税の重加算税の各賦課決定処分、平21.1.1〜平23.12.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の重加算税の各賦課決定処分、平成22年分の所得税の過少申告加算税の賦課決定処分、平21.1.1〜平23.12.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の無申告加算税の各賦課決定処分・一部取消し、棄却・平成27年7月1日裁決)
- 相続財産である家族名義預金を申告せず、税務調査においても根拠のない答弁を行った納税者について、国税通則法第68条に規定する重加算税の賦課要件を満たすとした事例(平成23年8月相続開始に係る相続税の各更正処分及び重加算税の各賦課決定処分・一部取消し、棄却・平成27年10月2日裁決)
- 委託売却による売却通知が処分に当たることを前提に、不服申立ての利益がないことを理由に審査請求を却下した事例(委託売却による売却通知処分・却下・平成27年4月8日裁決)
- 不動産取引に当たり売買価額を分散させるために虚偽の売買契約書等を作成し事実を仮装したとの原処分庁の主張を排斥して重加算税の賦課決定処分の一部を取り消した事例(平22.9.1〜平23.8.31の課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の賦課決定処分・一部取消し・平成25年11月13日裁決)
- 現金主義による所得計算の特例(所得税法第67条の2)を適用して事業所得の計算をした者が発生主義による所得計算と比較して税負担が不利益になるという理由による更正の請求をすることは認められないとした事例
- 売買契約の内容を仮装して土地重課税の額を過少に申告した行為は仮装隠ぺいに該当するとした事例
- 被相続人が外国人である場合の共同相続人の国税の納付義務の承継額は本国法によるとした事例
- 共同相続人が連帯納付責任を果たしてなお不足がある場合のみに納税保証人に納付義務が発生する旨の規定はなく、納税保証人に生じた還付金を、その保証に係る国税に充当することを制限する規定は存しないから、本件充当処分は適法であるとした事例
- 分離長期譲渡所得等について、保証債務の履行のための譲渡に関する課税の特例を適用すべきであるとしてなされた更正の請求に対し、確定申告書にその旨の記載がなく、また、その旨の記載がなかったことについてやむを得ない事情があるとは認められないとして、当該特例を適用することはできないと判断した事例
- 本件相続開始直後、請求人自らが被相続人名義の証書式定額郵便貯金を解約して、新たに開設した請求人ら名義の通常郵便貯金口座に預入し、その存在を確知しているにもかかわらず、後に開設した相続財産管理口座には被相続人名義の通帳式郵便貯金を解約した金額のみを預入し、証書式定額郵便貯金を除外して相続税の確定申告をした請求人の行為は、事実を隠ぺいした場合に該当するとした事例
- 土地売買契約解約条項を含む訴訟上の和解は当該土地譲渡所得金額の計算に影響を及ぼさないとした事例
- 事前通知なし調査について争われた事例(平成22年分〜平成23年分の所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分、平成24年分の所得税の更正処分、平成24年分の所得税の過少申告加算税の賦課決定処分、平20.1.1〜平24.12.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに無申告加算税の各賦課決定処分・一部取消し、棄却・平成27年7月21日裁決)
- 支払利息に係る借入金が総勘定元帳に記載されておらず、支払利息の経費算入割合が各年で異なる等の事実は存するが、これをもって、隠ぺい又は仮装を認定することはできないとし、重加算税賦課決定処分の一部を取り消した事例
- 源泉所得税の不納付について国税通則法第67条第1項に規定する正当な理由があるとした事例
- 延納条件が有利に変更された場合は、変更前になされた保証債務も、主債務と同様の内容をもって存続しているとした事例
- 課税処分に対する審査請求中に行われた差押処分が適法であるとした事例
- 「却下」の異議決定を誤りとし、適法な異議申立ての決定があったものとして、審査請求を適法であるとした事例
- 相続税の期限内申告書の提出がなされなかったことについて国税通則法第66条第1項ただし書に規定する正当な理由がないとした事例
- 国税通則法第70条第2項による法人税の純損失等の金額に係る更正は、納税者の有利なものか不利なものかにかかわらず、法定申告期限から7年を経過する日まですることができるとした事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。