所得税更正処分等取消請求事件|平成25(行ウ)36
行政事件裁判例(裁判所)
平成26年5月29日 [所得税法][給与所得][退職所得][過少申告加算税]判示事項
勤務先の親会社である外国法人の株式を無償で取得することのできる権利(リストリクテッド・ストック・ユニット)を付与された納税者が,その権利が確定したことにより得た経済的利益につき,退職所得として所得税の確定申告をしたところ,当該経済的利益は給与所得に当たるとして,更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分を受けたことから,これらの取消しを求めた請求が,棄却された事例裁判要旨
勤務先の親会社である外国法人の株式を無償で取得することができる権利(リストリクテッド・ストック・ユニット)を付与された納税者が,その権利が確定したことにより得た経済的利益につき,退職所得として所得税の確定申告をしたところ,当該経済的利益は給与所得に当たるとして,更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分を受けたことから,これらの取消しを求めた請求につき,上記権利は,親会社である外国法人のグループに属する子会社と権利の被付与者との間で雇用関係が継続することを前提とする社員報奨制度に基づいて付与されたものであって,被付与者が退職するか否かという事実関係には関わりなく,当該被付与者に対し,過去の特定の期間の勤務成績に基づいて付与された賞与(ただし,権利確定日までは,経済的利益の最終的な帰属が不確定であるもの)としての性質を有するものであり,権利付与日から制限期間(3年間)終了日までの間,雇用関係が継続していることを条件とするものの,定年退職によって雇用関係が終了した場合には,被付与者の希望退職等を防止し,精勤させるという本件制度の趣旨・目的に反するものではないため,制限期間終了日及び権利確定日を雇用関係終了日に早め,権利確定日に本件権利に基づく経済的利益を確定的に取得することができることとしたものと解されることから,本件権利に基づく経済的利益は「退職すなわち勤務関係の終了という事実によって初めて給付されるもの」という退職所得の要件を満たさないなどとして,上記請求を棄却した事例- 裁判所名
- 名古屋地方裁判所
- 事件番号
- 平成25(行ウ)36
- 事件名
- 所得税更正処分等取消請求事件
- 裁判年月日
- 平成26年5月29日
- 分野
- 行政
- 全文
- 全文(PDF)
- 裁判所:行政事件裁判例
- 所得税更正処分等取消請求事件|平成25(行ウ)36
関連するカテゴリー
関連する裁決事例(所得税法>給与所得>退職所得>過少申告加算税)
- 確定申告書の提出から1年経過後になされた過少申告加算税の賦課決定処分に不当はないと判断した事例
- 申告もれの土地譲渡について具体的に指摘した来署依頼状の送付後になされた修正申告書の提出は、国税通則法第65条第5項に規定する調査があったことにより更正があるべきことを予知してされたというべきであるとした事例
- 法定申告期限内に原処分庁が還付申告に係る誤りを指摘しなかったとしても過少申告をしたことにつき正当な理由があるとは認められないとした事例
- 修正申告のしょうようがあった後になされた修正申告書の提出は、国税通則法第65条第5項に規定する調査があったことにより更正があるべきことを予知してされたというべきであるとした事例
- 税務署における資料の調査により請求人の給与所得の申告が漏れているものと判断した上で、尋ねたい事項や持参を求める書類を具体的に明記した文書を送付するなどの一連の過程から、国税通則法第65条第5項の「調査」があったと判断した事例
- 法定申告期限から3年を経過した後に提出された修正申告書は、更正があるべきことを予知して提出されたものでないとして、過少申告加算税の賦課決定処分の全部を取り消した事例
- 建造引当権に関する国税庁長官通達は、法令にない取扱いを新たに示したものとすることはできず、法令の不知、誤解は通則法第65条第4項の「正当な理由」があるとは認められず、調査担当者の具体的な指摘前に修正申告をしたとしても同法第65条第5項に該当しないとした事例
- 相談担当者が知り得なかった申告漏れ等は、国税通則法第65条“過少申告加算税”第4項にいう「正当な理由」には当たらないとした事例
- 還付申告書の提出による還付金を受け取っていない場合であっても、修正申告により還付金の額に相当する税額が減少する場合は過少申告加算税賦課の対象になるとした事例
- 適正な申告を行えなかったことが、申告書の作成を依頼した税理士の過失に起因するとしても、国税通則法第65条第4項の「正当な理由」には該当しないとした事例
- 相続を原因とする所有権移転登記に係る登録免許税を不動産所得の必要経費に算入したことに基因する過少申告について正当な理由があるとした事例
- 加算税の賦課決定処分に当たり、その計算の基礎とした「更正処分により納付すべき税額」には、更正により増加する部分の納付すべき税額のほか、更正により減少する部分の還付金の額に相当する税額が含まれ、当該税額の還付を受けたか否かを問わないとした事例
- 申告相談担当職員による誤った指導等はなく、国税通則法第65条第4項に規定する「正当な理由があると認められるものがある場合」には該当しないと判断した事例
- 土地の時効取得に係る一時所得の収入金額の発生時期について時効を援用した平成9年分としたことは、課税要件明確主義及び合法性の原則から逸脱したものとはいえないし、税法の不知、誤解等は、国税通則法第65条第4項に規定する「正当な理由」に当たらないとした事例
- 修正申告のしょうように至るまでの過程において、原処分庁が当初保有していた情報とは異なる申告漏れが判明した事情がある場合において、修正申告は更正があるべきことを予知してなされたものであると認めた事例
- 相続人間において相続財産の帰属について係争中である場合でも、国税通則法第65条“過少申告加算税”第4項の「正当な理由」があるとはいえないとした事例
- 還付を受けるための申告書を提出した者が更正を受けたときには、その者が消費税の課税事業者でない場合であっても、国税通則法第65条第1項にいう「納税者」に該当するとした事例
- 期限後に提出された申告書は還付請求申告書に該当するので、更正処分により賦課すべき加算税は過少申告加算税になるとして無申告加算税の賦課決定処分の一部を取り消した事例
- 過少申告加算税の対象となる相続税の税額は、申告期限までに納付すべき税額と納税猶予税額との合計額であるとした事例
- 社会福祉法人に土地を贈与し、国税庁長官に租税特別措置法第40条の規定に基づく承認申請をした場合において、これに対する不承認通知が所得税の法定申告期限までになかったことが国税通則法第65条第4項に規定する正当な理由に該当しないと判断した事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。