単純承認により相続した土地(買換資産)を譲渡した場合の譲渡所得の金額の計算において、控除できる土地の取得費は、租税特別措置法第37条の3《買換えに係る特定の事業用資産の譲渡の場合の取得価額の計算等》の規定に基づき算定した取得価額によることが相当であるとした事例
裁決事例(国税不服審判所)
2003/04/23 [所得税法][必要経費][譲渡所得][取得費] 請求人は、請求人の母(被相続人)が租税特別措置法第37条第1項の規定を適用して取得した買換資産について、母から相続した後に譲渡したものであるから、所得税法第60第1項の規定が適用され、母の購入金額等が取得価額となると主張する。また、租税特別措置法第37条の3に規定する「適用を受けた者」とは、買換資産を取得した被相続人であることから、請求人に適用されるものではない旨主張する。
所得税法第60条第1項は、相続等により取得した資産の取得費等の計算においては、その相続した者が引き続きこれを所有していたものとみなすと規定し、取得時期及び取得価額を引き継ぐこととしており、取得価額は、別段の定めがあるものを除き、被相続人が取得に要した同法38条に規定する「資産の取得に要した金額並びに設備費及び改良費の額の合計額」となる。
ところで、請求人が譲渡した資産は、被相続人が生前において租税特別措置法第37条第1項を適用して取得した買換資産であり、これを単純相続により取得した後に請求人が譲渡したものであるから、この場合の取得価額についても、所得税法第60条第1項の規定が適用され、被相続人の取得価額が引き継がれることとなるところ、買換資産の取得価額にかかる租税特別措置法37条の3の規定は、所得税法38条に規定する「別段の定め」に該当するものであるから、被相続人の取得価額は、租税特別措置法37条の3の規定により計算された価額となり、請求人は、この価額を所得税法60条1項の規定により、被相続人の取得価額として引き継ぐこととなる。
したがって、この点に関する請求人の主張には理由がない。
平成15年4月23日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
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