本件土地の売買に際し、請求人は確定申告した売買代金以外にも金銭を受領した事実があるとしてなされた更正処分について、その事実を認めるに足りる証拠はないとして、その全部を取り消した事例
[所得税法][収入金額][収入金額の計算]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
1997/11/28 [所得税法][収入金額][収入金額の計算] 原処分庁は、本件土地の売買に関する契約書として、売買価額を25,113,000円とする契約書(以下「甲契約書」という。)、売買価額を45,180,000円とする契約書(以下「乙契約書」という。)及び売買価額を60,240,000円とする契約書の3通が存在するが、本件土地の買受人の代理人の答述及び売買代金の支払等が記録されたメモ等の内容から、本件土地の売買価額は乙契約書に基づく45,180,000円と認めるのが相当である旨主張する。
しかしながら、次の事実等を照らし合わせると、乙契約書が真に本件土地の売買を表すものと認定することはできない。
本件土地の買受人の代理人の答述等は、その時々により内容が異なっており信用ができず、また、提出されたメモ等の記載内容も真実のものか疑わしいと言わざるを得ない。
本件土地の売買代金について検証できる部分は、25,113,000円だけであり、現金で支払ったとされる20,067,000円については証拠がない。
以上から、請求人が本件土地の売買に際し、甲契約書記載の売買代金以外の金銭を受領した事実は認められず、また、ほかにもその受領の事実を認めるに足りる証拠はないので、本件土地の譲渡価額は、請求人が確定申告した25,113,000円であると認められる。
よって、請求人の平成2年分の分離短期譲渡所得の金額は、申告に係る分離短期譲渡所得の金額と同額であるから、本件更正処分はその全部を取り消すべきである。
平成9年11月28日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 本件土地の売買に際し、請求人は確定申告した売買代金以外にも金銭を受領した事実があるとしてなされた更正処分について、その事実を認めるに足りる証拠はないとして、その全部を取り消した事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(所得税法>収入金額>収入金額の計算)
- 現物出資により取得した出資の価額を純資産価額方式で算定する場合、法人税等の税額に相当する金額を控除すべきでないとした事例
- 本件有限会社に対する上場会社株式の現物出資に係る譲渡所得の収入金額は、その出資により取得した出資持分の価額であり、この価額は、本件有限会社の状況等に照らし、純資産価額によって評価するのが相当であるとした事例
- 仮換地指定変更を目的とする交換契約に基づき収受した金銭に係る所得は一時所得ではなく譲渡所得であるとした事例
- 受領済の役員報酬につきそ及して減額する旨取締役会で決議したことにより、給与所得の収入金額が過大であるとしてされた更正の請求は、同決議に基づき受領済の報酬の一部を返還しても、請求人の既に確定した給与所得の収入金額には影響を及ぼさないから、更正をすべき理由がない旨の原処分は適法であるとした事例
- 本件譲渡は、中間譲受人に利得させることを意図した不自然なものであり、実質的には、請求人から最終譲受人に対し直接なされたものであるとした事例
- 譲渡の対価として代替地及び建物の交付の要求に対し、譲受人は代替地を購入して建物を建築して渡していることから、譲渡収入の金額は、代替地と建物建築価額の合計額になるとした事例
- 配当還元方式により評価する新株の価額を増資前の著しく高い配当率によらず増資後の安定した配当率を基として算定した事例
- 現物出資に係る譲渡所得の収入金額は、法人の受入価額ではなく出資による取得株式の時価であるとした事例
- 土地建物の譲渡に際し、架空の中間譲渡人を介在させて譲渡収入金額の圧縮を計ったとして、最終買受人の購入価額を譲渡収入金額と認定した原処分を相当と認めた事例
- 請求人は、乙農地についてはB女の所有する丁農地と等価交換したものであると主張するが、実際は、交換取引が存在しないから、所得税法第58条の規定を適用することはできないとした事例
- 喫茶店を経営していた土地建物の譲渡時に喫茶店の営業権等の売買も行われたとの請求人の主張に対し、営業権等は売買されていなかったと認定し、譲渡価額全額が土地建物の対価であるとした事例
- 米国内国歳入法401kの掛金の拠出金は給与等の収入金額に当たるとした事例
- 弁護士報酬を土地で取得した場合の収入金額は取得の日の価額によるのが相当であるとした事例
- 海外の顧客との商取引は請求人の売買取引ではないから、海外から送金を受けた金額は請求人の収入になるものではなく、コミッション相当額のみが収入金額であるとの請求人の主張が排斥された事例
- 本件土地の売買に際し、請求人は確定申告した売買代金以外にも金銭を受領した事実があるとしてなされた更正処分について、その事実を認めるに足りる証拠はないとして、その全部を取り消した事例
- 被扶養者の入学金及び授業料等を減額免除されたことによる学費減免相当額は給与所得の収入金額に該当するとした事例
- 本件土地について、賃貸借契約時に受領した金員は、借地権設定の対価ではなく、敷金であり、譲渡の和解時に土地の対価の一部に充当されたものであると認定した事例
- 外国市場で売却した株式代金の売却約定時の邦貨換算は同日の対顧客電信買相場(TTBレート)により、代金決済時の邦貨換算は先物為替予約レートによるのが相当であるとした事例
- 1. 現物出資により取得した出資の価額を純資産価額方式で算定する場合、会社が所有する土地の価額は相続税評価額ではなく通常取引される価額によるべきであるとした事例2. 現物出資により取得した出資の価額を純資産価額方式で算定する場合、法人税等の税額に相当する金額を控除すべきでないとした事例
- 不動産の譲渡による収入金額を認定した事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。