適格退職年金制度の終了に伴い信託銀行が供託した年金基金の分配金として支払われる一時金に係る収入すべき時期は、当該制度の終了に関する裁判上の和解が成立した日ではなく、年金信託契約が解除された日であるとした事例
裁決事例(国税不服審判所)
2010/07/13 [所得税法][収入金額][収入すべき時期] 請求人は、本件における年金受給権は、退職時点におけるH社との個別的な合意に基づいて発生したものであるが、H社が行った適格退職年金制度の終了及びこれに伴う措置は、H社と請求人との間の給付内容の変更であるから、請求人の同意がない限りその効力は発生しないところ、本件においては、請求人が平成19年3月○日に本件和解をした時点で初めて請求人が上記変更に同意をしたものと評価できるから、請求人に分配される一時金の受給権は平成19年に発生したものである旨主張する。
しかしながら、当該一時金は、適格退職年金制度の終了に伴って年金信託契約が解除されたことにより、当該年金信託契約に係る年金基金がH社における退職年金規定の定めに従って請求人に分配されたものであるところ、当該年金信託契約は、所得税法施行令第183条《生命保険契約等に基づく年金に係る雑所得の金額の計算上控除する保険料等》第3項第3号に規定する「退職年金に関する信託、生命保険又は生命共済の契約」に該当することから、当該一時金は、同条第2項に規定する生命保険契約等に基づく一時金に該当する。
したがって、当該一時金の収入すべき時期は、所得税基本通達36−13《一時所得の総収入金額の収入すべき時期》に定める「その支払を受けるべき事実が生じた日」である当該年金信託契約が解除された日、すなわち、平成17年4月1日であり、当該一時金は、請求人の平成17年分に帰属する所得であると認められる。
《参照条文等》 所得税法第36条 所得税法施行令第183条第3項第3号 所得税基本通達36−13
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
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