離婚に伴う財産分与として、特有財産である土地の所有権を被分与者に移転したことは、譲渡所得課税の対象となるとした事例
[所得税法][収入金額][資産の譲渡]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
1985/11/26 [所得税法][収入金額][資産の譲渡]裁決事例集 No.30 - 1頁
請求人は、離婚に伴う財産分与として本件土地の所有権を被分与者に移転したことにつき、その実質は共有財産中の所有地を特定し、真正な登記名義を回復したにすぎず、仮に本件土地が請求人の特有財産であったとしても、財産分与は対価を伴わない無償譲渡であり、被分与者の潜在的持分に着目して共有財産を分割するという清算的性格を有するものであるから、財産分与に譲渡所得の概念を持ち込むことには無理がある旨主張するが、本件土地の取得について被分与者が何らかの形で貢献していることは否定できないとしても、そのことをもって本件土地が直ちに被分与者との共有になるものとはいい得ず、本件土地は、請求人の特有財産であったものと認められ、また、夫婦の一方がその特有財産である不動産を財産分与として他方に譲渡した場合、そこに資産の移転が存することは明らかであって、その譲渡は、分与義務の消滅という経済的利益の享受を伴うものであるから有償の譲渡と認めるのが相当であり譲渡所得課税の対象となる。
昭和60年11月26日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
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