いわゆる連担建築物設計制度における余剰容積移転の対価として受領した金員は譲渡所得とは認められないとした事例
[所得税法][所得の種類][譲渡所得]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
2008/04/03 [所得税法][所得の種類][譲渡所得] 請求人は、余剰容積移転のための対価として受領した金員について、所得税法第33条第1項の資産の譲渡に該当することから、譲渡所得として課税されるべきである旨主張する。
しかしながら、余剰容積移転の対価は、土地所有権の一部譲渡を意味するものではなく、移転側が、移転を受ける側に対して自己の土地を建築上利用させるために、その土地における建築上の利用制限を受けることに対する対価であると解するのが相当であることから、「土地を使用させる行為」に当たり、原則不動産所得に該当し、所得税法第33条かっこ書及び所得税法施行令第79条第1項に該当する場合に限り、譲渡所得として課税されることになる。
そうすると、本件余剰容積利用権は、建築基準法第86条第2項に規定する連担建築物設計制度の適用により容積率が事実上緩和されたことに基づいて発生したものであり、私法上の契約形態としては不作為地役権を設定する方式によっていることから、所得税法第33条かっこ書及び所得税法施行令第79条第1項のいずれにも該当せず、不動産所得と解するのが相当である。
平成20年4月3日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
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