所得税更正処分取消等請求事件|平成20(行ウ)566
[所得税法][租税特別措置法]に関する行政事件裁判例(裁判所)。
行政事件裁判例(裁判所)
平成21年8月27日 [所得税法][租税特別措置法]判示事項
自宅として居住していた所有土地建物を売却し,1棟のマンション中に存する2つの区分建物を取得した者が,同各区分建物が一体として買換特例制度の適用を受けるものとして確定申告をしたところ,租税特別措置法(平成19年法律第6号による改正前)36条の6第1項所定の一方の区分建物は同制度の適用を受けないとしてされた更正処分の取消請求が,棄却された事例裁判要旨
自宅として居住していた所有土地建物を売却し,1棟のマンション中に存する2つの区分建物を取得した者が,同各区分建物が一体として買換特例制度の適用を受けるものとして確定申告をしたところ,租税特別措置法(平成19年法律第6号による改正前)36条の6第1項所定の一方の区分建物は同制度の適用を受けないとしてされた更正処分の取消請求につき,同条及び同条に基づく同法施行令の規定は,不動産の価格高騰等の弊害を防止しつつ,住み替えによる居住水準の向上等を図るという住宅政策上の観点から,建物の構造,機能,規模等の客観的状況に着目して,税制上の優遇措置を受け得る特例制度の適用範囲を限界付けているということができ,このような制度の枠組みからすると,買換特例制度の適用範囲の限界を画する要件としての「家屋」の個数は,第一次的には,建物の構造,機能,規模,間取り,設備,各建物間の距離等といった客観的状況を考慮して判断されるべき事柄であって,譲渡資産の譲渡者及びその家族による建物の使用状況といった主観的事情は,同法施行令24条の5第6項で準用する同法施行令(19年政令第92号による改正前)24条の2第9項2号所定の「主としてその居住の用に供するとき」に当たるかの判断において主に考慮されるべき事情であって,前記「家屋」の個数の判断においては,副次的に斟酌されるにとどまるものというべきであるとした上,前記各区分建物は,いずれも,個別に居宅として販売対象となり得る構造,機能,規模,間取り,設備等を備えており,前記各区分建物間の距離等に照らしても,客観的に独立性の高い二つの区分建物であるといえるところ,前記の者は前記各区分建物のうちの一方のみを「主としてその居住の用に供する」ものと認められるから,同室のみが同法36条の6第1項所定の買換資産に当たり,他方はこれに当たらず,殊更に両室を一体として評価しなければならない事情も認められないとして,前記請求を棄却した事例- 裁判所名
- 東京地方裁判所
- 事件番号
- 平成20(行ウ)566
- 事件名
- 所得税更正処分取消等請求事件
- 裁判年月日
- 平成21年8月27日
- 分野
- 行政
- 全文
- 全文(PDF)
- 裁判所:行政事件裁判例
- 所得税更正処分取消等請求事件|平成20(行ウ)566
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