固定資産税等賦課決定取消請求事件|平成19(行ウ)11
[相続税法]に関する行政事件裁判例(裁判所)。
行政事件裁判例(裁判所)
平成21年7月15日 [相続税法]判示事項
1 相続により取得した土地に係る固定資産税及び都市計画税の賦課決定処分取消しを求める訴え提起後に予備的に追加された前記固定資産税等の税額の減免申請に対してされた税額の一部減免許可決定処分取消しを求める訴えが,審査請求前置及び出訴期間の遵守に欠けるところはなく,適法とされた事例2 相続により取得した土地に係る固定資産税及び都市計画税の賦課決定処分につき,同土地を物納財産とする相続税の物納を理由とする前記固定資産税等の税額の減免申請に対してされた税額の10分の7の額の減免を許可する一部減免許可決定処分の取消請求が,棄却された事例
裁判要旨
1 相続により取得した土地に係る固定資産税及び都市計画税の賦課決定処分取消しを求める訴え提起後に予備的に追加された前記固定資産税等の税額の減免申請に対してされた税額の一部減免許可決定処分取消しを求める訴えにつき,前記一部減免許可決定処分が前記賦課決定処分と同一の機会にされ,前記一部減免許可決定処分の告知も同処分に伴う税額変更の通知もされず,前記賦課決定処分に対する審査請求に対する裁決が,前記減免許可決定処分の存在に言及し,その適法性についても判断を示した上で前記審査請求を棄却する内容となっていることなどからすると,前記一部減免許可決定処分の取消しの訴えは,同処分に対する審査請求に対する裁決を経たと認めるのが相当であり,審査請求前置主義に違背するものではなく,また,前記変更前の訴えに変更後の訴えの趣旨が既に含まれていたと見ることができ,前記賦課決定処分の取消しの訴えは,同処分自体に対する不服を表明したにとどまるものではなく,同処分と同一の機会にされた前記一部減免許可決定処分に対する不服を表明したものとしての性格をも有するということができるのであって,出訴期間遵守の観点からは,前記賦課決定処分の取消しの訴えの提起のときから既に提起されていたものと同様に取り扱うのが相当であるとして,前記訴えを適法とした事例2 相続により取得した土地に係る固定資産税及び都市計画税の賦課決定処分につき,同土地を物納財産とする相続税の物納を理由とする前記固定資産税等の税額の減免申請に対してされた税額の10分の7の額の減免を許可する一部減免許可決定処分の取消請求につき,固定資産税の減免について規定した地方税法367条が具体的な減免事由や減免の割合には言及していないことや,固定資産税の減免が徴収の猶予や納期限の延長等によっても納税が困難であると認められるような担税力の薄弱な者を個別的に救済する措置であることなどにかんがみれば,同法は,固定資産税の減免について,いかなる場合に固定資産税の減免を実施し,また減免を実施する場合に減免の対象範囲及び減免の程度をどのようなものにするのかを,市町村長の裁量的判断に委ねることとし,横浜市市税条例(昭和25年横浜市条例第34号)及び横浜市市税条例施行規則(昭和25年横浜市規則第80号)も,そのような固定資産税の減免に係る市町村長の裁量を前提として規定されたものであると解することができるとして,前記条例62条1項3号が,固定資産税の減免について規定した同法367条を受け,「公益上その他の事由により特に減免を必要とする」という要件を定め,前記規則19条の3第3号ウが,相続税の物納に供された固定資産について,公益上その他の事由による減免の必要性という観点から,固定資産税に係る税額の減免割合を一律10分の7としたこと自体,同法の予定する授権の範囲を超えるものではないなどとして,前記一部減免許可決定処分の取消請求を棄却した事例
- 裁判所名
- 横浜地方裁判所
- 事件番号
- 平成19(行ウ)11
- 事件名
- 固定資産税等賦課決定取消請求事件
- 裁判年月日
- 平成21年7月15日
- 分野
- 行政
- 全文
- 全文(PDF)
- 裁判所:行政事件裁判例
- 固定資産税等賦課決定取消請求事件|平成19(行ウ)11
関連するカテゴリー
関連する裁決事例(相続税法)
- 遺言執行者に対する報酬(遺言執行費用)支払債務は、相続税法第13条に規定する債務に該当しないとした事例
- 相続により取得した預託金制のゴルフ会員権の価額は、通常の取引価格の70パーセントに相当する金額によって評価するのが相当であるとした事例
- 被相続人の相続開始数日前に相続人によって引き出された多額の金員は、被相続人によって費消等された事実はないことから相続財産であると認定した事例
- 被相続人は賃借していた土地の所有者に対して別途建物を賃貸しており、その建物の賃貸料が相場より低いのは、その低い分だけ土地の賃借料と相殺されているのであるから、この相殺部分の金額を土地の賃借料に加算すると土地の賃借料は相当地代に当たるので、被相続人の有する借地権の評価額は零であるとの請求人の主張が排斥された事例
- 相続により取得した第一種市街地再開発事業に係る施設建築物の一部の給付を受ける権利の価額は、権利変換計画において決定された変換を受けることとなる施設建築物の一部の価額の70%に相当する金額と認めるのが相当とした事例
- 共同相続人間等で争われた株主権確認請求訴訟に係る控訴審判決の理由中の判断で示された事実等に基づき被相続人が相続開始日現在において有していた出資口数を認定した事例
- 請求人らの母親の預金口座から出金された金員が請求人らの債務の返済に充てられているが、両当事者はその事実を知らなかったのであるから、請求人らが対価を支払わないで経済的利益を受けたとは認められないとした事例
- 時価より著しく低い価額で現物出資があった場合に利益を受けたか否かは、現物出資の前後における出資の価額の差額によって判断すべきであるとした事例
- 庭内神しの敷地部分は相続税法第12条第1項第2号に規定する相続税の非課税財産には該当しないとした事例
- 取引相場のない株式を純資産価額方式により評価する場合において、評価会社が負担した弔慰金については、相続財産とみなされず、実質上の二重課税とはならないので、負債に計上する必要はないとした事例
- 物納申請土地は、いわゆる間口狭小のため単独には通常の用途に供することができない土地に該当するとして「管理又は処分をするのに不適当」と判断した事例
- 原処分庁が、弁明を聴取した上、滞納状況、弁明の内容、納付事績等を基に検討した結果、延納許可に係る税額を完納する見込みがないと判断し、相続税の延納許可を取り消したことは適法であるとした事例
- 相続人らから本件被相続人への本件各金員の支出は、本件被相続人が相続税対策のために相続人らに贈与を行っていたことなどからすると、相続人らから本件被相続人への贈与であったとみることは困難であるから、本件各金員は、相続人らから本件被相続人に貸し付けられたものと認められるとした事例
- 河川法第24条の規定に基づく河川区域内の土地の許可占用権は相続税の課税財産に該当し、その価額は財産評価基本通達87−5により評価するのが相当であるとした事例
- 香港に所在する財産について、相続税の課税財産と認定するとともに、その時価を香港政庁に提出された遺産宣誓書に記載されている各財産の価額の邦貨換算額により評価した原処分を相当と認めた事例
- 遺産に係る基礎控除額を計算する場合の相続人の数は、実際の相続人について該当する相続人の資格の数によるのではなく、実際の相続人の数そのものによるとされた事例
- 請求人の家屋が建築されている宅地は、以前請求人が地上権を有していたが、その建築前に地上権は抹消登記されており、かつ、地代の支払もないから、その貸借は使用貸借と認められ、自用地としての価額により評価するのが相当であるとした事例
- 実際に負担する金額が確定していない葬式費用は、民法第900条から902条までの規定による相続分又は包括遺贈の割合で計算すべきとした事例
- 被相続人の損害賠償債務は、制限納税義務者である請求人の相続税の課税上、控除すべき債務には当たらないとした事例
- 公正証書を作成して被相続人の生前に贈与を受けたものであるとする不動産について、生前贈与ではなく死因贈与により取得したものと認定した事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。