誤納金返還等請求事件|平成17(行ウ)126
[所得税法][源泉徴収]に関する行政事件裁判例(裁判所)。
行政事件裁判例(裁判所)
平成19年4月17日 [所得税法][源泉徴収]判示事項
銀行が,アメリカ合衆国所在の子会社を代理人として,外国法人である各取引先との間で行った米国債又はドイツ国債を売買し,及び同債券と同種,同量の債券を将来一定価格で再売買するとの条件でした取引(いわゆるレポ取引)において,同各取引先から受け入れた金額と交付した金額との差額が所得税法161条6号の「国内において業務を行う者に対する貸付金(これに準ずるものを含む。)」の「利子」に当たるとしてした源泉徴収に係る所得税の各納税告知処分が,違法とされた事例裁判要旨
銀行が,アメリカ合衆国所在の子会社を代理人として,外国法人である各取引先との間で行った米国債又はドイツ国債を売買し,及び同債券と同種,同量の債券を将来一定価格で再売買するとの条件でした取引(いわゆるレポ取引)において,同各取引先から受け入れた金額と交付した金額との差額が所得税法161条6号の「国内において業務を行う者に対する貸付金(これに準ずるものを含む。)」の「利子」に当たるとしてした源泉徴収に係る所得税の各納税告知処分につき,同号の「貸付金(これに準ずるものを含む。)」の「利子」とは,消費貸借契約に基づく貸付債権を基本としつつ,その性質,内容等がこれとおおむね同様ないし類似の債権の利子ということができ,附帯する合意いかんでは資産の譲渡や役務の提供の対価として発生する債権に付随して発生した利益をも含むと解する余地があるといえ,その意味で,原因となる法律行為の法形式のみからその適用の有無を判断できるものではないが,他方,法形式等を全く考慮することなく,経済的効果のみに着目して,前記の「利子」に当たるか否かを判断することもできないとした上,前記各取引において前記子会社と前記各取引先との間で締結した各基本契約は,倒産隔離を果たすため,契約条項において売買及び再売買により構成されることを明確に定めたものであって,他方,金融的取引の側面が存在し,それを示唆するかのような条項の存在によっても,その法的性質を変容させるまでのものとはいえず,同各基本契約に基づく前記各取引は,売買,再売買を一つの契約で実行する複合的な性格を有する契約であるとするのが相当であり,前記各取引において,買主が再売買取引において有する再譲渡価格相当額の代金債権は,飽くまで再売買取引時において,売主に対して対象債券と同種,同量の債券の移転することと引換えに再譲渡価格相当額の代金の支払を請求する権利を意味し,前記各取引の再売買取引における売買代金債権が消費貸借契約における貸付債権とその性質,内容等がおおむね同様ないし類似するとはいえず,前記差額が同号の「貸付金(これに準ずるものを含む。)」の「利子」に当たるとはいえないとして,前記納税告知処分を違法とした事例- 裁判所名
- 東京地方裁判所
- 事件番号
- 平成17(行ウ)126
- 事件名
- 誤納金返還等請求事件
- 裁判年月日
- 平成19年4月17日
- 分野
- 行政
- 全文
- 全文(PDF)
- 裁判所:行政事件裁判例
- 誤納金返還等請求事件|平成17(行ウ)126
関連するカテゴリー
関連する裁決事例(所得税法>源泉徴収)
- 外国人芸能タレントの招へい業者へ支払った金員及びその芸能タレントへ支払った、いわゆるドリンク・バックについて源泉徴収を要するとされた事例
- 外国人研修生等が在留資格の基準に適合する活動を行っていないことを理由に日中租税条約第21条の免税規定の適用がないとした事例
- わが国において韓国芸能人に支払った人的役務の提供に対する報酬は、日韓租税条約上免税にならないとした事例
- ストリップショウの出演者に対する出演料は所得税法204条第1項に規定する報酬又は料金に該当するとした事例
- 関係会社の名義による源泉所得税の納付は、請求人による納付としての法的効果を生じないとした事例
- 衣料品の輸入販売業を営む請求人が海外の取引先に支払った金員は、所得税法第161条第7号イに規定する工業所有権等の使用料に該当し、源泉徴収に係る所得税の納税告知処分は適法であるとした事例
- 請求人の元理事長らが不正行為により流用等した金員等は、当該元理事長らに対する給与所得又は退職所得として、請求人は源泉徴収義務を負うと認定した事例
- 海外出向者の帰国後に、当該海外出向者の国外勤務中の給与に係る外国所得税の額を請求人が負担したことについて、居住者に対する経済的利益の供与に当たるとした事例
- 事業協同組合の組合員の死亡脱退により生じた持分払戻金に含まれるみなし配当相当額について源泉徴収義務があるとした事例
- 企業支配力を更に強化するために取得した株式の買入価格のうち通常の株式の価額を超える部分は認定賞与にあたらないとした事例
- 貸付金に係る利息相当額の経済的利益の供与に基づく源泉所得税の納税告知を取り消した事例
- 請求人の代理店は、請求人との販売委託契約書に基づき請求人の扱っている商品について、請求人と顧客との販売契約の申込みの勧誘等の業務委託を受け、請求人と顧客との売買契約の締結を媒介する役務を請求人に提供していることから、所得税法第204条に規定する外交員に該当するとした事例
- 救急病院等に勤務する医師等に対する宿直料は、本来の職務に従事したことに対する対価であるから、所得税基本通達28−1ただし書は適用できないとした事例
- 理事長に対する債務免除は、債務者が資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難であると認められる場合に受けたものに該当せず給与として源泉徴収を要するとした事例
- 源泉徴収の対象となる匿名組合契約に基づく利益の額の計算上、契約内容の異なる別個の匿名組合契約に係る損失の額及び別途支払うこととされている管理費用の額を控除することはできないとした事例
- 不動産売買業を営む法人が、土地売買により生じた簿外収益の一部を同法人の実質的代表者に賞与として支給したものと認定し、源泉徴収に係る所得税の納税告知処分をしたことは適法であるとした事例
- 養老保険契約に加入し支払った保険料について、請求人は、所得税基本通達36−31の(3)に該当すると主張するが、当該保険契約は、被保険者が主任以上という基準であり、全従業員がその恩恵に浴する機会が与えられているとは認められず、給与に該当するとした事例
- 損金に算入した養老保険の保険料相当額が、保険金受取人である従業員に対する給与(経済的利益の共与)に当たるとした事例
- 合資会社の無限責任社員の死亡退社により生じた持分払戻請求権に含まれるみなし配当相当額について源泉徴収義務を負うとした事例
- 懲戒解雇した従業員に対し地位保全仮処分申請に係る裁判所の決定に基づき支払った金員は給与所得に該当するとした事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。