投資事業有限責任組合の法人組合員が純額方式により組合損益を計上している場合において、組合損益の計算上費用とされた株式の評価損は法人組合員においては損金の額に算入することはできないとした事例
裁決事例(国税不服審判所)
2010/02/17 [法人税法][所得金額の計算][特殊な損益の計算] 請求人は、投資事業有限責任組合は構成員課税となっており、当該組合が有する資産、負債等については出資割合に応じて各組合員に直接帰属することになるから、その帰属損益額の計算を純額方式により計算している場合であっても、当該組合が有する株式のうち組合員である請求人の出資割合に応じた部分については請求人が直接有しているとして評価損を計上することができる旨主張する。
しかしながら、組合員である法人が純額方式により組合事業に係る帰属損益額の計算をしている場合には、組合員が組合事業における配当金に係る収入や引当金に係る対象資産等を帳簿等で個別に計上しない等、組合事業における収入、原価、費用等及び資産、負債等の具体的な内容について、組合員が個別に認識することなく、その損益の計算結果だけを当該組合事業から受ける損益として認識しているものと考えられるところ、法人税法第33条第2項は、金銭債権を除く資産につき災害による著しい損傷その他の政令で定める事実が生じたことにより、当該資産の価額がその帳簿価額を下回ることとなった場合に、損金経理により資産の帳簿価額を減額することを要件として評価損を認めているから、資産等を自らの帳簿等で個別に計上することのない純額方式においては、組合事業における資産の評価損は組合員の損金の額に算入できないと解するのが相当である。そして、請求人は、純額方式により組合事業に係る損益を計算しているから、本件評価損を損金の額に算入することは認められない。
《参照条文等》法人税法第33条法人税基本通達14−1−2
平成22年2月17日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 投資事業有限責任組合の法人組合員が純額方式により組合損益を計上している場合において、組合損益の計算上費用とされた株式の評価損は法人組合員においては損金の額に算入することはできないとした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(法人税法>所得金額の計算>特殊な損益の計算)
- 協同組合が分配した剰余金について事業分量配当ではなく出資配当であるとした事例
- 請求人が組合員に対し支払った本件払戻額のうち、共益費用及び店舗賦課金部分の金額については、出資者としての地位に基づく配当と認められるが、空店舗均等割賦課金部分の金額については、当該空店舗均等割賦課金の返還と認められるから、益金の額から減算するのが相当であるとした事例
- 匿名組合契約に係る出資者が営業者より受ける利益又は損失の分配は、営業者の各事業年度末でなければ確定しないとした事例
- 投資事業有限責任組合の法人組合員が純額方式により組合損益を計上している場合において、組合損益の計算上費用とされた株式の評価損は法人組合員においては損金の額に算入することはできないとした事例
- 会社更生法第269条第3項の規定に基づき控除する欠損金はまず法人税法第57条第1項による青色欠損金が優先とした事例
- 会社更生法第271条第1項による更生計画の変更許可に基づく土地等の評価益の減額による差損は、損益に計上できないとした事例
- 会社更生法第269条第3項は、既往の事業年度における法人税法第57条の青色欠損金控除の規定の適用の有無にかかわらず、更生手続開始決定事業年度の申告欠損金額の範囲内で債務免除益等を非課税とする規定であるとの主張を退けた事例
- 合併に際して被合併法人の株主に交付されたいわゆる合併交付金が、被合併法人の利益の配当であるかの判定に当たり、合併契約書等にその旨の記載がない場合には、合併交付金が支払われた経緯、支払いを受けた株主の認識等を総合的に検討して判断するのが相当であるとした事例
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。