特別土地保有税徴収猶予取消処分取消請求控訴事件(原審・大阪地方裁判所平成16年(行ウ)第42号)|平成17(行コ)80
[国税通則法]に関する行政事件裁判例(裁判所)。
行政事件裁判例(裁判所)
平成18年2月10日 [国税通則法]判示事項
1 地方税法(平成15年法律第9号による改正前)附則31条の3の2にいう「譲受者」の意義 2 市区長が,地方税法(平成15年法律第9号による改正前)附則31条の3の2第1項に基づく他人譲渡制度により特別土地保有税の徴収猶予決定を受けていた土地の譲渡会社に対してした,同土地を譲り受けた会社の会社分割によりその事業の一部を承継して同土地を承継した会社が,同土地を分筆後,分筆後の土地の共有持分を,前記会社分割後の譲受会社を吸収合併した会社に対して再譲渡したことによる,前記徴収猶予決定のうち前記共有持分の割合により按分した額の特別土地保有税についての徴収猶予取消処分が,適法とされた事例裁判要旨
1 地方税法(平成15年法律第9号による改正前)附則31条の3の2にいう「譲受者」とは,同条が規定する他人譲渡制度は,バブル崩壊後において土地の流動化,有効活用の促進を図るため,例外的に徴収猶予の継続を認める制度であることから,法文の文言を離れて拡張して理解すべきものではないところ,同条1項が,土地の所有者等から当該土地の譲渡を受けた者を「譲受者」としていることは明らかであり,この「譲受者」から当該土地の再譲渡を受けた者までを「譲受者」に含めることは法文の文言とは相容れず,同項は,「譲受者」が,当初から第三者への再譲渡を予定した特例譲渡による徴収猶予及び納税義務の免除の取扱いも規定しているから,「譲受者」が直接の譲受者であることを前提としていることは明らかであること,同条2項が,土地の所有者等が同条1項の適用を受けようとする場合には,「譲受者」に対する土地の譲渡の日までに市町村長に対し,その旨の申出をしなければならないと規定しているから,その対象となる土地の譲渡は,直接の譲渡であることは明らかであることなどからすれば,前記「譲受者」は,土地の所有者等からの直接の譲受者に限られる。 2 市区長が,地方税法(平成15年法律第9号による改正前)附則31条の3の2第1項に基づく他人譲渡制度により特別土地保有税の徴収猶予決定を受けていた土地の譲渡会社に対してした,同土地を譲り受けた会社の会社分割によりその事業の一部を承継して同土地を承継した会社が,同土地を分筆後,分筆後の土地の共有持分を,前記会社分割後の譲受会社を吸収合併した会社に対して再譲渡したことによる,前記徴収猶予決定のうち前記共有持分の割合により按分した額の特別土地保有税についての徴収猶予取消処分につき,同条の「譲受者」とは直接の譲受者に限られるところ,前記一部承継会社と前記吸収合併会社とは別個の法人格を有する株式会社であること,前記一部承継会社は,前記吸収合併会社に対して前記共有持分を売り,即日代金全額を受領したこと,前記吸収合併会社は,同日前記共有持分を取得するとともに土地の引渡及び所有権移転登記に必要な一切の書類の引渡しを受けたことからすると,前記再譲渡により,前記共有持分は前記吸収合併会社に移転したことは明らかであり,前記再譲渡は実質的にも存在するものであるから,同条の要件に欠けることになったとして,前記取消処分を適法とした事例- 裁判所名
- 大阪高等裁判所
- 事件番号
- 平成17(行コ)80
- 事件名
- 特別土地保有税徴収猶予取消処分取消請求控訴事件(原審・大阪地方裁判所平成16年(行ウ)第42号)
- 裁判年月日
- 平成18年2月10日
- 分野
- 行政
- 全文
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- 特別土地保有税徴収猶予取消処分取消請求控訴事件(原審・大阪地方裁判所平成16年(行ウ)第42号)|平成17(行コ)80
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