飲食業を営む前賃借人からその各店舗を転借するに際し支払った対価は営業権の対価ではなく繰延資産の対価であるとした事例
裁決事例(国税不服審判所)
1980/03/31 [法人税法][所得金額の計算][損金の額の範囲及び計算][減価償却資産の償却等]裁決事例集 No.19 - 85頁
営業権とはその企業の長年にわたる伝統と社会的信用、立地条件、特殊の製造技術及び特殊の取引関係の存在並びに、それらの独占性等企業がこれを持つことにより、同種の事業を営む他の企業の稼得している通常の収益(いわゆる平均的収益)より大きな収益、つまり、超過収益を稼得できる無形の財産的価値を有している相対的な事実関係を指称するものと解されるところ、特殊飲食物販売業を営む請求人が喫茶、ラーメン等を営む前賃借人から店舗及びその造作備品等の譲受けに際して支払った対価について、[1]前賃借人が営んでいた事業に係る客層と請求人が前賃借人から譲り受けた各店舗において営むことを予定していた事業に係る客層とは、同一であるとはいえないことから、前賃借人の有していた取引関係が請求人にとって超過収益力を稼得できる無形の財産的価値を有しているものとは認められないこと、[2]請求人と前賃借人との間においてされた当該対価の支払に係る契約は、店舗賃貸借契約の付随的契約と認められることから、当該対価の額は、営業権の取得価額に算入することなく、法人税法施行令第14条第1項第9号ロに規定する繰延資産の対価であると認定するのが相当である。
昭和55年3月31日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
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