住民票を異動したり、郵便受箱を撤去するなどした行為は、通知書の送達を回避することを意図してなされたものであり、請求人の住所は本件住所にあるとして、差置送達の効力を認めた事例
[国税通則法][総則][送達]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
1997/10/15 [国税通則法][総則][送達] 請求人は、平成8年3月14日にその住所を移転しており、本件通知書が送達された同月15日においては本件住所に請求人の住所はなかったのであるから、本件通知書の送達は無効である旨主張する。
しかしながら、住所がどこにあるかについては、その場所に生活の本拠と認められるべき実質的な生活関係があるか否かによって判断すべきであるところ、具体的には、その者及び配偶者等家族構成員らの生活状況、その住所への移転目的その他の諸事情を総合的に勘案し、社会通念に照らして判断するのが相当である。本件は、請求人が住民票を異動したり、郵便受箱を撤去するなどした行為は、本件通知書の送達を回避することを意図してなされたものと認められ、請求人の住所は本件住所にあると認めるのが相当である。また、本件通知書は、透明なビニールケースに入れて密封した上、門柱に貼り付ける方法により送達されていることが認められるところ、同通知書はこれをもって請求人の了知し得べき状態に置かれたものとみるのが相当であり、かつ、同時点をもってその効力が生じたものと判断される。
以上のことから、本件通知書は適法に送達されており、有効であると認められる。
平成9年10月15日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
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