土地及び建物の一括譲渡契約において、その契約書の特約条項欄に土地及び建物の譲渡価額の記載があるとしても、本件建物の固定資産税の評価額が少額であって固定資産税も賦課されていないこと、本件建物の取得時及び譲渡時の取引先がいずれも本件建物の評価価値はない旨申述していること、請求人自ら確定申告において本件土地建物の取得価額を全額本件土地の原価の額としていること等から本件建物の譲渡価額は零円とするのが相当であるとした事例
[租税特別措置法][法人税法の特例][土地の譲渡等がある場合の特別税率][収益の額]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
1995/04/27 [租税特別措置法][法人税法の特例][土地の譲渡等がある場合の特別税率][収益の額]請求人は、課税土地譲渡利益金額の計算上、土地及び建物を一括譲渡した場合の土地の譲渡価額はその不動産売買契約書の特約条項欄に売買金額の内訳として記載されている土地及び建物の価格のうちの土地の価格であると主張するが、本件建物の固定資産税の評価額が少額であって固定資産税も賦課されていないこと、本件建物の取得時及び譲渡時の取引先がいずれも本件建物の評価価値は無い旨申述していること、請求人自ら確定申告及び修正申告において本件土地建物の取得価額を全額本件土地の原価の額としていることから本件建物の価額はないものと認められ、また、近隣の土地の売買実例からみて本件物件の譲渡価額の総額は本件土地の譲渡価額と認められ、不動産売買契約書の特約条項欄の売買金額の内訳として記載されている土地及び建物の価格は取引の真実を反映したものではないと認めるのが相当である。
本件土地の譲渡費用の算定について、請求人は、実額配賦法によって本件土地の譲渡に係る部分の金額を合理的に計算して申告したと主張しているが、租税特別措置法施行令第38条第8項及び第38条の5第4項の規定は、土地の譲渡等の全てについて支出する経費のうち、当該土地の譲渡等に係る部分の金額を合理的に計算することができるものにあっては、概算法に代えて実額配賦法により計算することを例外的に認めたものと解されるところ、請求人は、実額配賦法により算定した根拠を何ら示さないためそれによる方法が合理的か否か審理できないのであるから概算法により算定したことは相当である。
譲渡収益の一部を除外していたことについて、請求人は会計帳簿に正当に記帳さており隠ぺい又は仮装の事実はないこと、また、その除外した金員は代表者からの借入金の返済に充てたものであって代表者が個人的に費消したものではないと主張するが、本件物件について契約価額の違う2通の契約書を作成していること、除外した本件金員の一部を代表者個人の普通預金口座に入金していること、請求人の会計帳簿への記載はなく申告もしていないこと等の行為は国税通則法第69条第1項に規定する隠ぺい又は仮装に該当する。
また、請求人の代表者は、請求人の株式の80パ−セントを所有しており、その代表取締役として請求人を支配・管理していること、その地位を利用して本件金員を受領したと認められること、代表者から請求人に対し返金した事実はないこと等の事実から代表者が当該金員を費消したものと認めるほかはなく、原処分庁が本件金員を代表者に対する賞与と認定したことは相当である。
なお、源泉所得税の計算に当たって、代表者に対する賞与と認定した本件金員の支払確定日は、代表者が本件金員を受領した事実に応じ、現金受領日、代表者個人の普通預金口座に振り替えた日(入金した日)又は当該事業年度終了の日とするのが相当である。
平成7年4月27日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 土地及び建物の一括譲渡契約において、その契約書の特約条項欄に土地及び建物の譲渡価額の記載があるとしても、本件建物の固定資産税の評価額が少額であって固定資産税も賦課されていないこと、本件建物の取得時及び譲渡時の取引先がいずれも本件建物の評価価値はない旨申述していること、請求人自ら確定申告において本件土地建物の取得価額を全額本件土地の原価の額としていること等から本件建物の譲渡価額は零円とするのが相当であるとした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(租税特別措置法>法人税法の特例>土地の譲渡等がある場合の特別税率>収益の額)
- 請求人がJ社から受領した金員は、請求人及びJ社を含む5社が各1,300万円を出資して構成した本件共同体(民法第667条の組合)が、土地等の譲渡をして得た譲渡益の分配金であるから、その構成員たる請求人が本件共同体から受領すべき金額は請求人の土地等の譲渡益であり、また、当該土地等の取得から譲渡までの期間は2年以下であるから、租税特別措置法第63条の2に規定する超短期所有に係る土地等の譲渡利益に該当するとした事例
- 土地と建物を一括譲渡した場合において、土地譲渡益重課制度の対象となる土地の譲渡対価の額は、建物の未償却残額に建築費上昇率を乗じて得た建物の価額を土地建物の譲渡対価の額から控除して算定すべきものとした事例
- 請求人が作成した土地売買契約書及び建物売買契約書は、土地の譲渡価額の圧縮を目的として形式的に作成されたもので、建物売買契約は存在せず、土地を譲渡したものであるとした事例
- 現況が山林であり、宅建業法で定める報酬基準では採算が取れないという特殊状況にある仲介手数料については、土地譲渡益重課税の対象とすべきではないとの請求人の主張に対して、当該基準を適用した原処分は相当であるとした事例
- 土地及び建物の一括譲渡契約において、その契約書の特約条項欄に土地及び建物の譲渡価額の記載があるとしても、本件建物の固定資産税の評価額が少額であって固定資産税も賦課されていないこと、本件建物の取得時及び譲渡時の取引先がいずれも本件建物の評価価値はない旨申述していること、請求人自ら確定申告において本件土地建物の取得価額を全額本件土地の原価の額としていること等から本件建物の譲渡価額は零円とするのが相当であるとした事例
- 建築条件付土地の譲渡について、一つの売買契約書が作成されていても、取引の経緯等から土地と建物の取引はそれぞれ別個の取引であると認められ、土地と建物の「一括譲渡」には当たらないとした事例
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。