旅行業を営む請求人がその主催旅行のバス乗務員に支払った心付けは、旅行者からの預り金の支払いでなく、交際費等に当たるとした事例
裁決事例(国税不服審判所)
2002/05/21 [租税特別措置法][法人税法の特例][交際費等の課税の特例] 請求人(旅行業者)は、自ら主催する旅行において、目的地への運行を依頼したバス会社の乗務員に対して支払った心付けにつき、[1]旅行パンフレット等に旅行代金に心付けが含まれている旨記載されていること、[2]心付けの金額は内規的に設けられた一定の基準を基礎として、あらかじめ旅行原価の中に見積もり、当該金額を旅行費用の一部として見積書を作成していることから、旅行客から預かって支払ったものであると主張する。
しかしながら、[1]旅行パンフレット等には心付けの金額が記載されておらず、また、[2]見積書は社内用に作成されたものであり、旅行客は当該見積書に記載された心付けの金額を確認することができないことからすれば、本件心付けの金額は旅行客の具体的な意思によって決定されるのでなく、請求人の判断と責任において決定されるというべきであり、さらに、請求人は、旅行客から本件心付けに相当する金額を別に預かるような手続をしておらず、旅行客からの預り金として実質的に管理していたと認められないから、本件心付けは旅行客が支払ったものでなく、請求人が、他の旅行原価と同様、旅行客から受取った旅行代金の中から支払ったものと認められる。
そして、本件心付けは、事業に関係のある者に対して支払われ、何らかの収益効果を期待して支払ったものでもなく、請求人が主催旅行における旅程の管理の一環として、当該旅行を円滑に進行させるための謝礼金として支払った金員と認められることから、租税特別措置法第61条の4《交際費の損金不算入》第3項に規定する交際費等に当たる。
平成14年5月21日裁決
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