請求人が他の者と共有する家屋の改修工事を行った際に、費用の全額を負担していても、その全額は住宅取得等特別控除の対象とすることはできないとした事例

[租税特別措置法][所得税法の特例][譲渡所得の特例][特定の事業用資産の買換えの場合等の課税の特例]に関する裁決事例(国税不服審判所)。

裁決事例(国税不服審判所)

2001/05/21 [租税特別措置法][所得税法の特例][譲渡所得の特例][特定の事業用資産の買換えの場合等の課税の特例]

裁決事例集 No.61 - 364頁

 請求人は、[1]本件家屋の改修工事費用の全額を実際に負担しているから、請求人の住宅取得等特別控除の対象となる増改築等に要した費用の額は、当該改修工事費用の全額である旨及び[2]当該工事費用の支出があったことにより本件家屋の請求人の持分を変更しているから、登記簿上の持分に基づいて行われた更正処分は事実を誤認している旨主張する。
 ところで、本件家屋の改修工事により付加された部分は、本件家屋と一体となっていることから民法第242条により本件家屋に附合したこととなり、その所有権は本件家屋の共有者にそれぞれの持分に応じて帰属することになる。
 そうすると、増改築部分についても共有者が各々の持分に応じて所有していると解されるから、請求人の住宅取得等特別控除の対象となる増改築等に要した費用の額は、本件家屋の改修工事に要した費用の額のうち請求人の持分に相当する部分となる。
 また、不動産登記はその真正なることを保証するために不動産登記法に規定する厳格な手続きによってなされており、登記には登記簿上表示される法律関係が実体法上も存在するものと推定される効力があり、登記簿上の法律関係が一応真正なものとして取り扱われる。
 もとより、反対の証拠によりこの推定を覆すことは可能であるが、請求人は持分変更の登記をしなかった理由を回答するのみで持分が変更されているとする主張を立証するに足りる証拠資料を提出せず、また、当審判所の調査によっても請求人の持分が変更されているとの心証を得ることはできないことから、請求人の本件家屋の持分は登記簿に記載された2分の1であると認めるのが相当である。
 したがって、この点に関する請求人の主張は採用することができない。

国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
請求人が他の者と共有する家屋の改修工事を行った際に、費用の全額を負担していても、その全額は住宅取得等特別控除の対象とすることはできないとした事例

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