相続税法施行令第8条第1号に規定する判決は、請求人が訴訟当事者である判決に限られるとした事例
裁決事例(国税不服審判所)
2013/08/22 [消費税法][申告、更正の請求の特例]《要旨》 請求人は、共同相続人Eが原告となって提起した、相続財産として申告していた貸付金のうち原告の法定相続分に相当する金員の支払を求める貸金請求訴訟において、当該貸付金の存在を認めることはできないとして原告の請求を棄却する旨の判決(本件判決)が確定し、本件判決は相続税法施行令(平成17年政令第37号による改正前のもの)第8条《更正の請求の対象となる事由》第1号に規定する判決に該当するから、相続税法(平成16年法律第147号による改正前のもの)第32条《更正の請求の特則》第5号の規定に基づいて行った更正の請求を認めるべきである旨主張する。
しかしながら、国税通則法第23条《更正の請求》第2項第1号は、判決が確定したことを要件としており、同号に規定する判決は、更正の請求をする者が訴訟当事者である判決に限られるものと解されるところ、相続税法施行令第8条第1号が、平成15年度税制改正により相続税法第32条の更正の請求の特則事由として追加された改正趣旨は、同号の事由が、国税通則法第23条第2項の規定により、期限なしに更正の請求ができる事由であることから、税額の減額には対応できるが、その影響で他の相続人の税額が増加することとなる場合の増額の処分を可能とする規定が国税通則法にはないため、相続税法第32条においてこれを更正の請求の特則事由として特記することにより、相続税法第35条《更正及び決定の特則》第3項の規定による他の相続人に対する増額処分も可能とするためであると解されることからすれば、相続税法施行令第8条第1号に規定する判決は、国税通則法第23条第2項第1号に規定する判決と同義のものといえるから、更正の請求をする者が訴訟当事者である判決に限られるものと解される。これを本件についてみると、本件判決は、共同相続人Eが提起した貸金請求事件の判決であり、請求人が訴訟当事者ではない判決であるから、請求人にとって相続税法施行令第8条第1号に規定する判決には該当しない。
《参照条文等》 相続税法第32条 相続税法施行令第8条第1号 民事訴訟法第115条
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