処分取消並びに過誤納金還付請求控訴事件|平成7(行コ)26
[租税特別措置法]に関する行政事件裁判例(裁判所)。
行政事件裁判例(裁判所)
平成7年11月28日 [租税特別措置法]判示事項
1 登録免許税法31条2項による同条1項の過誤納税額等の通知を税務署長にすべき旨の請求に対して,登記官がした前記通知ができない旨の通知の行政処分性 2 登録免許税につき,租税特別措置法(平成4年法律第14号による改正前)78条の3第1項による軽減税率の適用を受けようとする場合には,登記申請書に知事の証明書を添付しなければならないと定める同法施行規則(昭和32年大蔵省令第15号,平成7年大蔵省令第33号による改正前)29条2項の有効性 3 租税特別措置法(平成4年法律第14号による改正前)78条の3第1項の規定する軽減税率の適用対象となる登記につき,同法施行規則(昭和32年大蔵省令第15号,平成7年大蔵省令第33号による改正前)29条1項所定の知事の証明書を添付しないで登記申請を行い,通常の税率で登録免許税を納付した者が提起した,軽減税率による税額との差額相当額についての過誤納金の還付請求が,認容された事例裁判要旨
1 登録免許税の納付義務は登記のときに成立し,納付すべき税額は納付義務の成立と同時に自動的に確定するものとされており,その税額が公定力をもって確定されることはないから,登録免許税法31条1項により登記官が税務署長に対してする過誤納税額等の通知及び同条2項による前記通知の請求に対して登記官がする前記通知ができない旨の通知は,単に過誤納金等の還付事務を円滑にするための認識の表示にすぎず,過誤納金等の還付請求者の法的地位を変動させる法的効果を有しないから,前記通知ができない旨の通知は抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらない。 2 租税法律主義は,租税の課税要件として手続的な事項を定める場合にも適用されるから,手続的な事項を課税要件とすること自体は法律によって定められなければならないものと解されるところ,登録免許税の税率の軽減を定める租税特別措置法(平成4年法律第14号による改正前)78条の3第1項は,「(前略)これらの登記に係る登録免許税の税率は,政令に定めるところにより(中略)千分の二十五とする」との抽象的で包括的な委任文言を用いているのみであり,前記の租税法律主義の意義に照らし,これを追加的な課税要件として手続的事項を定めることの委任や,解釈により課税要件を追加しその細目を決定することの委任を含むものと解することはできないから,同法施行令(昭和32年政令第43号,平成7年政令第158号による改正前)42条の9第3項及び同法施行規則(昭和32年大蔵省令第15号,平成7年大蔵省令第33号による改正前)29条1項が,軽減税率による登記申請には知事の証明書の添付を要するものとした部分は,軽減税率による登記申請の受理要件を定める限度では有効とはいえても,前記の手続的な事項を課税要件とし,登記申請時に証明書の添付がなければ,後に証明書を提出しても軽減税率の適用がないとする部分は,法律の有効な委任がないのに税率軽減の要件を加重したものとして無効である。 3 租税特別措置法(平成4年法律第14号による改正前)78条の3第1項の規定する軽減税率の適用対象となる登記につき,同法施行規則(昭和32年大蔵省令第15号,平成7年大蔵省令第33号による改正前)29条1項所定の知事の証明書を添付しないで登記申請を行い,通常の税率で登録免許税を納付した者が提起した,軽減税率による税額との差額相当額についての過誤納金の還付請求につき,同規則(同改正前)29条1項は,軽減税率を適用するための課税要件を定めるものとして有効なものと解することはできないから,前記登記に係る税率は,同項所定の証明書が添付されていなくとも,軽減税率が適用されるものと解すべきであるとして,前記請求が認容された事例- 裁判所名
- 東京高等裁判所
- 事件番号
- 平成7(行コ)26
- 事件名
- 処分取消並びに過誤納金還付請求控訴事件
- 裁判年月日
- 平成7年11月28日
- 分野
- 行政
- 全文
- 全文(PDF)
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