租税特別措置法第33条の4第3項第1号に規定する公共事業施行者とは事業認定を受けた後の事業者であると限定的に解することはできないとした事例
裁決事例(国税不服審判所)
2006/07/05 [租税特別措置法][所得税法の特例][譲渡所得の特例][長期譲渡所得に係る課税の特例] 請求人は、租税特別措置法第33条の4第3項第1号に規定する「公共事業施行者から最初に買取り等の申出のあった日」について、民間企業が事業認定を受けて行う事業の場合、当該民間企業は、事業認定を受け収用権が発生したことによって初めて同号に規定する公共事業施行者としての地位を得られるのであるから、本件における公共事業施行者は事業認定を受けた後のT社であって、本件土地の買取りの申出のあった日は平成14年8月30日であり、譲渡の日(同年9月20日)の6か月以内に買取りの申出があったことになるから、収用交換等の場合の5,000万円の特別控除の特例が適用できる旨主張する。
しかしながら、租税特別措置法第33条の4第3項第1号に規定する買取り等の申出の主体である公共事業施行者については、事業認定を要しない事業(いわゆる特掲事業)を施行する者も含まれており、また、事業認定を受けた後の事業者とは規定されていないことから、事業認定を受けた後の事業者が同号でいう公共事業施行者であると限定的に解することはできない。また、同号に規定する「買取り等の申出のあった日」とは、公共事業施行者が、資産の所有者に対し、買取り等の資産を特定し、対価を明示してその買取り等の意思表示をした日をいうものと解されるところ、本件についてみると、事業施行者であるT社が、請求人に対して、最初に買取りの意思表示を行ったのは、平成13年6月17日とするのが相当であり、本件土地はこの日から6か月以上経過した後において譲渡されているから、収用交換等の場合の5,000万円の特別控除の特例を適用することはできない。
平成18年7月5日裁決
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