法人税更正処分取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成10年(行ウ)第191号)|平成13(行コ)6
[法人税法][国税通則法][過少申告加算税]に関する行政事件裁判例(裁判所)。
行政事件裁判例(裁判所)
平成13年7月5日 [法人税法][国税通則法][過少申告加算税]判示事項
1 親会社が,その同族会社である子会社に対する不良債権化した貸付債権を処理するため,当該子会社の発行する増資新株式を額面価格よりも高額で引き受けて払込みを行い,その払込金額を当該株式の取得価額とし,他方,当該株式を非同族会社に低額で譲渡したことにより有価証券売却損を生じたとして,その売却損を計上してした法人税確定申告に対し,税務署長が,当該株式の取得価額は額面価格であって,それを超える払込金額は子会社への寄附金に該当するとして,同族会社等の行為又は計算の否認について規定した法人税法132条を適用してした更正が,適法とされた事例2 親会社が,法人税確定申告をするに当たり,その同族会社である子会社に対する不良債権化した貸付債権を処理するため,当該子会社の発行する増資新株式を額面価格よりも高額で引き受けて払込みを行い,その払込金額を当該株式の取得価額とし,他方,当該株式を非同族会社に低額で譲渡したことにより有価証券売却損を生じたとして,その売却損を計上したことにつき,過少申告加算税について規定した国税通則法65条4項にいう「正当な理由」があるものとは認められないとした事例
裁判要旨
1 親会社が,その同族会社である子会社に対する不良債権化した貸付債権を処理するため,当該子会社の発行する増資新株式を額面価格よりも高額で引き受けて払込みを行い,その払込金額を当該株式の取得価額とし,他方,当該株式を非同族会社に低額で譲渡したことにより有価証券売却損を生じたとして,その売却損を計上してした法人税確定申告に対し,税務署長が,当該株式の取得価額は額面価格であって,それを超える払込金額は子会社への寄附金に該当するとして,同族会社等の行為又は計算の否認について規定した法人税法132条を適用してした更正につき,同条を適用するためには,前記計上方法が同条にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果となる」ことが要件となるが,そのような結果となるか否かは前記貸付債権が損金に算入し得るものであるか否かにかかるものというべきところ,前記子会社の業績や資産状況等に照らすと,当該貸付債権の全額が回収不能に陥っていたとはいえず,したがって,これを損金に算入することができなかったにもかかわらず,前記親会社は,有価証券売却損という形を取ることにより実質的に損金に算入する形で処理したのであるから,同条を適用し得るものというべきであるとして,前記更正を適法とした事例2 親会社が,法人税確定申告をするに当たり,その同族会社である子会社に対する不良債権化した貸付債権を処理するため,当該子会社の発行する増資新株式を額面価格よりも高額で引き受けて払込みを行い,その払込金額を当該株式の取得価額とし,他方,当該株式を非同族会社に低額で譲渡したことにより有価証券売却損を生じたとして,その売却損を計上したことにつき,法人税法施行令(平成12年政令第145号による削除前)38条1項1号が,払込みにより取得した有価証券の取得価額はその払い込んだ金額とする旨を規定しているからといって,取得価額を払込金額としたことに正当な理由があるということはできず,他方,前記会社は,子会社に対する貸付債権を回収不能として損金に算入することができないことを認識しつつ,これを損金に算入するために前記のような一連の行為を行い,子会社の新株の取得価額を払込金額としたものであるから,過少申告加算税について規定した国税通則法65条4項にいう「正当な理由」があるものとは認められないとした事例
- 裁判所名
- 東京高等裁判所
- 事件番号
- 平成13(行コ)6
- 事件名
- 法人税更正処分取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成10年(行ウ)第191号)
- 裁判年月日
- 平成13年7月5日
- 分野
- 行政
- 全文
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- 裁判所:行政事件裁判例
- 法人税更正処分取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成10年(行ウ)第191号)|平成13(行コ)6
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