相続税の延納許可の取消処分は、聴取した弁明に係る事情を考慮して行われた適法な処分であるとした事例
裁決事例(国税不服審判所)
2006/02/14 [相続税法][延納及び物納] 請求人は、[1]延納の許可の取消しに当たっては、弁明に係る滞納せざるを得なかった事情を十分考慮して行うべきであること、[2]本件延納許可の取消しは、請求人の弁明の内容を十分検討することなく無視・忘却し、形式的なものとして扱っているというべきであり、弁明の聴取の手続が行われたとはいえないことを主張する。
しかしながら、[1]弁明の聴取は、延納の許可を受けた者から、延納税額の滞納その他延納の条件に違反したこと及びその後の資力の状況の変化等について、その存否及びその事情を聴取することにより、取消しを決定する判断の資料とするために行うものであるが、弁明の聴取が行われた場合に、その聴取した内容に拘束されるものではないところ、本件においては、弁明の聴取の手続は適正に行われていると認められること、延納許可に係る税額についての滞納は一時的なものとは認められないこと、具体的な納付計画の提出がないこと、納税資金調達の根拠となる土地の売却についても内容が変遷していることからすれば、原処分庁が、延納許可に係る税額について滞納があり、今後の納付見込みがないことを理由に、相続税の延納許可を取り消したことは適法であると認められる。そして、[2]延納許可を取り消すに当たっては、聴取した弁明の内容に拘束されるものではなく、また、本件滞納せざるを得なかった事情が本件延納許可の取消処分の適法性に影響を与えるものとは認められないから、弁明の聴取の手続が行われたとはいえない旨の請求人の主張には理由がない。
平成18年2月14日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 相続税の延納許可の取消処分は、聴取した弁明に係る事情を考慮して行われた適法な処分であるとした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(相続税法>延納及び物納)
- 共有土地の持分の一部である財産の物納は、「管理又は処分をするのに不適当」と判断した事例
- 物納申請財産が、管理又は処分をするのに不適当な財産であるとした事例
- 物納申請土地は、いわゆる間口狭小のため単独には通常の用途に供することができない土地に該当するとして「管理又は処分をするのに不適当」と判断した事例
- 相続税延納分納額の滞納を理由とした延納許可取消処分が適法であるとした事例
- 物納申請財産である貸地は相続税法第42条第2項に規定する「管理又は処分をするのに不適当な財産」に該当するとした事例
- 延納許可期間の計算の基礎となる取得財産の価額のうちに占める不動産等の価額の割合が再度の遺産分割協議によって増加しても延納許可期間は変更されないとした事例
- 弁明の機会が付与されていないから弁明手続は違法である旨の請求人の主張を排斥した事例
- 物納申請土地は、無道路地であったり、市道に接してはいるがのり地やがけ地であったり、あるいは、物件の所在も特定できないものであり「管理又は処分をするのに不適当」な財産に当たると判断した事例
- 将来において担保を提供する旨の誓約書の提出は相続税の延納申請の要件である担保の提供に該当しないとした事例
- 物納申請財産は、間口狭小、奥行長大の極端に不整形な土地であり、相続税法第42条第2項に規定する管理・処分不適当財産に該当するから、物納財産変更要求通知処分は適法であるとした事例
- 原処分庁が、弁明を聴取した上、滞納状況、弁明の内容、納付事績等を基に検討した結果、延納許可に係る税額を完納する見込みがないと判断し、相続税の延納許可を取り消したことは適法であるとした事例
- 処分禁止の仮処分の登記が付着した担保申請物件は延納申請に係る担保として不適格であるとした事例
- 所有権の帰属につき係争中の不動産は相続税延納担保として不適格であるとしてされた延納申請却下処分は、適法であるとした事例
- 他の土地に囲まれ公道に通じていない物納申請財産について、物納を許可する上で、みなし道路指定のある第三者所有の私道の通行を承諾する旨の第三者からの承諾書は不要であるとの請求人の主張を排斥した事例
- 物納申請がされた土地(分譲マンションの底地)について、相続税法第42条第2項ただし書にいう「管理又は処分をするのに不適当である」ものとは認められないとした事例
- 相続税の延納許可の取消処分は、聴取した弁明に係る事情を考慮して行われた適法な処分であるとした事例
- 延納申請が許可された相続税額につきなされた物納申請を却下した原処分は適法であるとした事例
- 税務署長等は、物納手続関係書類の提出を求めることができ、その提出がない場合には、物納財産の特定を欠き、またその権利関係等が明らかにされないこととなり、物納申請財産は管理又は処分するのに不適当な財産となるとした事例
- 相続税の延納許可取消処分は、相続税法第40条第2項に定められた弁明を聞く手続を経ずになされたもので違法であるとした事例
- 非上場株式が「管理又は処分するのに不適当」と判断された事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。