[1]同族会社に対する貸付金、[2]仮名預金及び[3]土地の各財産の帰属について判断を示し、原処分の一部を取り消した事例
[相続税法][財産の評価][土地及び土地の上に存する権利]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
1998/11/05 [相続税法][財産の評価][土地及び土地の上に存する権利]被相続人のJ社に対する貸付金が存在するか否かについて判断するに、[1]同社の平成2年5月期の決算報告書には、被相続人からの長期借入金及び短期借入金が計上されていたこと、[2]請求人らは、被相続人の同社に対する貸付金が存在することを前提として、Yや遺言執行者と遺産の分配に係る協議をしていたこと、[3]被相続人の同社に対する貸付金についての合意事項を定めた覚書はそのような協議を経て作成されたものであること、[4]同社は、相続開始後に同社の財産をもって被相続人からの借入金を返済する旨の取締役会決議をしていること、[5]当該取締役会決議に則した「仕訳」が同社の関与税理士によって作成されていること、[6]請求人らは、相続開始後に行われた税務調査で被相続人の同社に対する貸付金が申告漏れになっているとの指摘を受けた際、Yに対し、当該貸付金は合意書及び覚書によりYに帰属させたものであるから、Yが申告するべきである旨要求していることなどを総合すると被相続人の同社に対する貸付金は存在していたものと解するのが相当である。
仮名預金については、[1]仮名預金は、被相続人が生前架空名義で設定していた5億円の定期預金の一部であるところ、これは相続開始後に解約されているが、これら一連の手続はYにより行われていること、[2]P地裁の判決は、仮名預金について、その時期や目的はともかくとして遅くとも被相続人の死亡前に同人からYに対し、生前贈与ないし死因贈与がされたものと認められる旨判断していることから、被相続人の生前にYに贈与されたものと解するのが相当である。
土地については、J社の帳簿には計上されていないものの、登記簿上は同社名義となっていること、固定資産税は同社が負担していることなどが認められ、これらの事実によれば、特段の事情がない限り、土地の所有権は同社に帰属すると推認するのが相当である。
平成10年11月5日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- [1]同族会社に対する貸付金、[2]仮名預金及び[3]土地の各財産の帰属について判断を示し、原処分の一部を取り消した事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(相続税法>財産の評価>土地及び土地の上に存する権利)
- 周知の埋蔵文化財包蔵地については発掘調査費用の額の80%相当額を控除して評価することが相当であるとした事例
- 相続により取得した土地は、いわゆるマンション適地等に該当するので、財産評価基本通達24−4に定める広大地に該当しないとした事例
- 借地権の価額は、不動産鑑定士が、実際に支払われている賃料に基づく純収益を還元して得た収益価格を標準として、売買事例を基に算定した比準価格等を比較考量して算定した鑑定評価額ではなく、評価基本通達に従って評価した価額が相当であるとした事例
- 取引相場のない株式の発行会社と店頭登録株式の発行会社との合併等の契約締結後、それぞれの期日までの間に課税時期がある場合において、取引相場のない株式についての評価額は、店頭登録株式の取引価格を合併比率等により調整した価額ではなく、財産評価基本通達に基づき評価した価額によるべきであるとした事例
- 贈与財産である取引相場のない株式を純資産価額方式で評価する場合において、当該株式の発行法人が有する営業権の価額は財産評価基本通達の規定により評価することが相当であるとした事例
- 本件家屋に賃借人が住んでおらず、家賃が未払等であっても、賃貸借契約は継続していると認められることから、本件家屋は貸家として評価すべきであるとした事例
- 相続財産は土地所有権移転請求権であり、その評価額は売買価額相当額であるとした事例
- 課税時期が合併契約締結後合併期日までの間にある場合において、課税時期における株式の価額は、合併後の会社の純資産価額に影響されないとした事例
- 財産評価通達24−2により評価した土地区画整理事業の施行区域内の土地の評価額は、適正であるとされた事例
- 自動車教習所のコースとして貸し付けられている土地に係る賃借権の残存期間は、更新されることが明らかである場合には、更新によって延長されると見込まれる期間をも考慮すべきであるとした事例
- 貸付金債権につきその回収が不可能又は著しく困難と見込まれる事実は認められないのでその元本価額で評価すべきとした事例
- 被相続人と請求人との間における本件土地の貸借関係は賃貸借とはいえず使用貸借と認めるのが相当であるから、本件土地は自用地として評価すべきであるとされた事例
- 中古車展示場用地としての本件土地の賃貸借契約は、その土地使用の主たる目的がその地上に建物を建造し、所有することには当たらないとして、本件土地は、貸宅地として借地権を控除して評価することはできないとした事例
- 貸家を建替中の敷地について相続が開始した場合、旧建物の賃借人との賃貸借契約が解除された部分に相当する宅地については、貸家建付地に当たらないとした事例
- 評価対象会社の出資を純資産価額方式で評価するに当たり、当該会社が有する国外の土地に係る使用権を貸借対照表価額に基づき評価した事例
- 市街化調整区域内に所在する山林については、高圧線下にあることの影響は皆無であるとはいえないとしても、なおこれをしんしゃくすべき特段の理由があるとは認められないとした事例
- 財産評価基本通達の定めにより配当還元方式で評価されることを利用して贈与税の負担の軽減を図る目的で取得した本件株式については、時価純資産価額を基に評価するのが相当であるとした事例
- 医療法人の定款を変更し、退社時の出資の払戻額及び解散時の出資の払戻額を払込出資額に限る旨定めたとしても、出資持分の価額は、払込出資額により評価するのではなく、財産評価基本通達194−2の定めに基づき評価するのが相当であるとした事例
- 相続により取得した預託金制のゴルフ会員権の価額は、通常の取引価格の70パーセントに相当する金額によって評価するのが相当であるとした事例
- 高圧線が架設されている線下地の相続税評価額を更地価額の20パーセント減で評価した事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。