評価通達に定める路線価が実勢価格に70パーセントの評価割合を乗じた水準に設定されているから、鑑定評価額に70パーセントを乗じた価額を本件土地の評価額とすべきであるとの主張を退けた事例
[相続税法][財産の評価][評価の原則]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
1995/01/31 [相続税法][財産の評価][評価の原則] 請求人らは、平成3年分の路線価は前年7月1日時点における実勢価格に70パーセントの評価割合を乗じた水準に設定されていたことは公知の事実であるとし、路線価により評価して申告した相続税について、平成2年秋以降、地価が著しく下落したのは明らかであるとして、本件相続開始時の実勢価格を不動産鑑定士の鑑定により求め、これに70パーセントを乗じた金額を基に評価をし、更正の請求をした。
これに対し、原処分庁は、本件鑑定評価額による評価により減額更正をしたが、本件鑑定評価額に更に70パーセントの評価割合を乗じる必要はないとした。
ところで、本件は、更正の請求に対し、原処分庁が本件鑑定評価額により評価して更正したのであるから、請求人は本件土地の価額がこの評価を下回ることを主張、立証することを要すると解すべきであるが、路線価が公示価格水準の70パーセント程度(評価水準)により評価しているのは、評価上の安全性を考慮した計算過程上の一要素にすぎないものであるところ、本件鑑定評価額は、鑑定人が公示価格との均衡を考慮しつつ、本件土地の特殊性をしんしゃくした上で求めた正常価格であって、これに評価水準を乗じなければならない理由はなく、また、そうしなければ課税の公平の原則に反するともいえない。そうすると、請求人の主張、立証をもって、本件土地の価額が本件減額更正に係る価額を下回ると認定することはできない。
平成7年1月31日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
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