未分割遺産に係る相続税の課税価格の計算は、いわゆる穴埋方式によるべきであるとした事例(平成22年5月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却・平成27年6月3日裁決)
裁決事例(国税不服審判所)
2015/06/03 [相続税法][相続税の課税価格の計算][債務控除]《要旨》 請求人らは、預貯金等の未分割財産(本件未分割財産)について、本件には請求人ら以外の相続人が本件未分割財産及びこれから発生する収益の全てを支配、独占しているなどの個別的事情があることから、相続税法(平成23年法律第82号による改正前のもの)第55条《未分割遺産に対する課税》に規定する課税価格の計算は、各共同相続人が未分割の財産に対する自己の相続分に応じた価額相当分を取得したものとして計算する方法、すなわち、積上方式によるべきである旨主張する。
しかしながら、相続財産の一部が分割された場合、そのことによって、相続財産全体に対する各共同相続人の法定相続分の割合が変更されることはないから、各共同相続人は、他の共同相続人に対し、相続財産全体に対する自己の相続分に応じた価額相当分から既に分割を受けた財産の価額を控除した価額相当分についてその権利を主張することができる。そうすると、相続税法第55条に規定する「民法(第904条の2を除く。)の規定による相続分の割合に従って当該財産を取得したものとしてその課税価格を計算する」とは、各共同相続人が相続財産全体に対する自己の相続分に応じた価額相当分から既に分割を受けた財産の価額を控除した残りの価額相当分を取得したものとして計算する方法、すなわち、穴埋方式により課税価格を計算すると解するのが相当である。
《参考条文等》 相続税法(平成23年法律第82号による改正前のもの)第13条、14条、55条
《参考判決・裁決》 最高裁平成5年5月28日第三小法廷判決(裁web) 東京地裁平成17年11月4日判決(税資255号順号10194)
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
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