請求人が取得した土地について、兄からの贈与によるものではなく、相続により取得したものであると認定した事例
[相続税法][贈与税の課税財産の範囲][贈与事実の認定][現金等]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
1979/05/04 [相続税法][贈与税の課税財産の範囲][贈与事実の認定][現金等]裁決事例集 No.18 - 109頁
原処分においては、兄が相続財産として取得した本件土地の2分の1を、その後、弟である請求人が贈与を受けたものと認定しているが、[1]本件土地について、兄を単独相続人とする旨記載した本件遺産分割協議書には、他に建物、借地権、山林、株式等があるにもかかわらず、本件土地と当該建物のみを遺産分割の対象物件とし、当該物件を相続しないものとした請求人に対して他の遺産を分割することを記載しないなどのその記載内容が極めて不自然であること、[2]本件遺産分割協議書が作成された当時、請求人は自己の実印を兄の経営する会社の金庫に預けており、兄はこれを容易に使用し得る立場にあったこと等が認められ、さらに、本件土地の相続を原因とする所有権移転登記に係る裁判(請求人からの訴えに基づくもの)における請求人、兄及び請求人の叔母の供述等を総合して考えると、本件遺産分割協議書は、兄が借入れの際本件土地に抵当権設定の必要が生じたため、請求人に無断でこれを作成したものであり、これにより本件土地につき兄名義で所有権移転登記をしたものというべきである。
したがって、兄は遺産分割により本件土地の全部を単独所有した事実はなく、その持分の2分の1を請求人に贈与した事実もあり得ないことになる。
昭和54年5月4日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 請求人が取得した土地について、兄からの贈与によるものではなく、相続により取得したものであると認定した事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(相続税法>贈与税の課税財産の範囲>贈与事実の認定>現金等)
- 請求人が取得した土地について、兄からの贈与によるものではなく、相続により取得したものであると認定した事例
- 共有建物の建築資金のうち請求人に対応する金員は夫からの贈与によるものであるとした事例
- 建築資金について贈与の事実がないとした事例
- 長期間にわたって実質的に離婚状態にあった夫から受領した金員のなかには慰謝料に相当する金額が含まれているとした事例
- 母から受領した金員は亡父の遺産に係る代償金ではなく、母からの贈与であると認定した事例
- 請求人の名義で登録された車両は、請求人の父がその資金の全額を拠出しており、贈与に当たるとして行われた贈与税の決定処分について、請求人に対する贈与の事実はないとして、贈与税の決定処分の全部を取り消した事例(平成20年分贈与税の決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分・全部取消し・平成27年9月1日裁決)
- 請求人名義の預貯金口座への各入金の事実によって、その原資が請求人の母の預貯金口座からの各出金に係る金員であると推認することはできないから、当該各入金に係る金員は贈与により取得したとは認められないとした事例
- 亡母の口座に振り込まれた資金の原資からすると、亡母が配偶者から贈与を受けた事実はないとした事例(平成18年分の贈与税の決定処分及び重加算税の賦課決定処分(異議決定により無申告加算税相当額を超える部分が取り消された後のもの)、被相続人に係る平成18年分の贈与税の決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分、平成20年分の贈与税の重加算税の賦課決定処分(異議決定によりその一部が取り消された後のもの)・棄却、全部取消し、一部取消し・平成25年10月7日裁決)
- 定期預金は請求人が受けるべき報酬の蓄積によって設定されたものではなく、贈与により設定されたものと認定した事例
- 父名義預金を解約して請求人名義の定期預金等を開設したことは、父から贈与により取得したものであるとして請求人の主張を排斥した事例
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。