当初の遺産分割協議の錯誤無効を理由に行った再度の遺産分割協議に基づき取得した新たな財産は、当初の遺産分割協議に要素の錯誤があったとは認めることができないから贈与により取得したものと認められるとした事例
[相続税法][贈与税の課税財産の範囲][贈与財産の範囲]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
2005/12/15 [相続税法][贈与税の課税財産の範囲][贈与財産の範囲] 請求人は、養親である祖父亡Gの後妻亡Hと養親子関係がないことを知らないで行った本件遺産分割は、法律行為の要素に錯誤があり、養親子関係がないことを知っていれば亡Hに亡Gの遺産を相続させる本件遺産分割を行うはずはなかったとして、本件遺産分割協議が錯誤により無効である旨主張する。
しかしながら、請求人と亡Hとの間に養親子関係があったとしても、請求人が主張するように、請求人が本件土地建物を亡Hから相続により取得することになるとは限らず、また、請求人が亡Hとの間に養親子関係がないことを知っていたとしても、請求人が主張するような遺産分割協議が成立するという必然性も認められない。そうすると、請求人の主張する「錯誤」は、遺産分割協議の動機に関するものであり、この動機が遺産分割協議の際に表示されていたとしても、本件遺産分割の内容と異なる内容の遺産分割協議がされたということにもならないから、民法第95条に規定する法律行為の要素の錯誤ということはできず、結局、請求人の思い違いないし勘違いにすぎないというほかはない。
したがって、本件遺産分割に要素の錯誤があったとは認めることはできないから、本件土地建物は、請求人が亡Hの相続人から贈与により取得したものと認めるのが相当である。
平成17年12月15日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
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