消費税の控除対象仕入税額の計算方式について、一括比例配分方式を選択して申告した後に、更正の請求により個別対応方式に変更することはできないとした事例
裁決事例(国税不服審判所)
2009/09/18 [消費税法][税額控除等][仕入税額控除] 請求人は、消費税の導入の趣旨に反して、消費税等相当額の負担を強いられていること、一括比例配分方式は簡便法であって、個別対応方式こそが原則的な控除対象仕入税額の計算方法であること、請求人の控除対象仕入税額は、本件税理士の責めに帰すべき事由により、請求人に不利な計算方法により算定されていることから、本件更正の請求において、控除対象仕入税額の計算方法を一括比例配分方式から個別対応方式へ変更することができる旨主張する。
しかしながら、納税者が消費税法第30条第4項の規定の適用を選択して一括比例配分方式により控除対象仕入税額を算定し確定申告をした場合には、更正の請求において、控除対象仕入税額の計算方法を一括比例配分方式から個別対応方式へ変更することはできないと解されるところ、請求人は、同項の規定の適用を選択して一括比例配分方式により控除対象仕入税額を算定し確定申告をしたものと認められることから、本件更正の請求において、控除対象仕入税額の計算方法を変更することはできない。
また、上記については、請求人が、課税仕入れについて、用途区分を明らかにしてさえいれば、いずれの計算方法を選択するのが税負担の面で有利であるかは、法定申告期限までに容易に判明することであること、上記については、本件両方式のいずれの計算方法により控除対象仕入税額を算定すべきかは、いずれの計算方法が原則的な計算方法であるかによって決せられるものではなく、請求人がいずれの計算方法により控除対象仕入税額を算定して確定申告をしたかによって決せられるものであること、上記については、請求人は、自己の意思と責任において本件税理士に税務代理を委任したものである以上、受任者である本件税理士の行為は委任者である請求人の責任の範囲内の行為と認められることから、請求人の主張にはいずれも理由がない。
平成21年9月18日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 消費税の控除対象仕入税額の計算方式について、一括比例配分方式を選択して申告した後に、更正の請求により個別対応方式に変更することはできないとした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(消費税法>税額控除等>仕入税額控除)
- 請求人が販売員に支払った金員は給与等に該当するとした事例(平21.5.1〜平23.4.30の各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分、平成20年1月〜平成22年6月の各期間分の源泉徴収に係る所得税の各納税告知処分及び不納付加算税の賦課決定処分・棄却・平成26年2月17日裁決)
- 消費税の課税仕入れの時期は、建物建築契約にあっては目的物たる建物の引渡日と、また、建物建設に関するコンサルタント契約にあっては役務の全部の提供を受けるのが完了した日と解するのが相当とされた事例
- 請求人が取得した介護施設に係る課税仕入れの用途区分については、課税用ではなく共通用であるとした事例
- 帳簿等には、仕入先としてその氏名の氏に相当する部分が記載されているのみであり、また、請求人は、本件調査の際に本件仕入先を明らかにして記載不備を補完しようとしなかったことから、帳簿又は請求書等の保存がない場合に該当するとして、仕入税額控除の適用は認められないとした事例
- 簡易課税制度選択届出書の提出があり、その後簡易課税制度不適用届出書の提出がないので、本件課税期間については簡易課税制度を適用した更正処分等は適法であるとした事例
- 簡易課税制度選択事業者が、消費税の経理処理につき税抜経理方式をとっているからといって、本則課税による仕入れ税額控除が認められることにはならないとした事例
- 米軍基地内における資産の譲渡等は非課税取引に該当するとした事例(平22.5.1〜平24.4.30の各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却・平成26年5月8日裁決)
- 事業者が販売したことによる自己の商品代金債権を信販会社に譲渡等することに伴い支払う手数料は、消費税法上の非課税取引に該当するとした事例
- 消費税につき提出した「簡易課税制度選択届出書」の効力は、課税期間の基準期間における課税売上高が3,000万円以下となった場合に提出することとされている「納税義務者でなくなった旨の届出書」の提出によっては、失効しないとされた事例
- 原処分調査中に請求人が提示した資料は、消費税法第30条第7項の要件を充たさないので、他の証拠資料によって課税仕入れに係る支払対価の額を合理的に推認できる場合であっても、仕入税額控除は認められないとした事例
- 海砂を採取する権利の取得に際し、利害関係のある漁業協同組合の同意を得るために支払った漁場迷惑料は、仕入税額控除の対象となる課税仕入れの対価とはならないとした事例
- 簡易課税制度選択届出書の提出は錯誤によるものであり無効であるとの主張を認めなかった事例
- 請求人の行っている業務は、会計処理業務であり、帳票類を販売する業務ではないとして、簡易課税制度の適用上、卸売業に該当しないとした事例
- 仕入税額控除に係る請求書等には、真実の仕入先の氏名等が記載されておらず、また、その仕入先が真実であると信じざるを得ない状況にはなかったとして仕入税額控除を否認した事例
- 請求人が自らの判断で簡易課税制度選択の届出をした限りは、任意に本則課税によって申告することはできないとした事例
- 顧客から印刷物の注文を受けて、これを外注先に印刷させ、その印刷物を顧客に納品する事業は、製造業(第三種事業)に該当するとした事例
- 請求人が取得した建物及び水道施設利用権に係る個別対応方式における課税仕入れの用途区分について、それぞれ取得の日の状況で判断した事例
- 営業権の引渡しの日は、酒類の販売が可能となった酒類販売業免許の日とするのが相当とした事例
- 請求人が取得したマンションの売買代金の支払日、所有権移転登記をした日、抵当権が設定された日、合鍵等の引渡しの日等によれば、当該マンションは本件課税期間より前に引渡しを受けたものと認められるから、当該マンションの取得は本件課税期間の課税仕入れには該当しないと判断した事例
- 請求人が提示した出面帳に記載された事項のうち、法定記載要件を具備している部分については、課税仕入れ等の税額に係る帳簿に該当するとして、消費税の納付すべき税額の計算上、当該部分に係る仕入税額控除の適用を認めた事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。