質問検査に至る前段階として必要な情報収集の方法は、社会通念上相当な限度にとどまっていると認められるので、合理的な裁量の範囲を逸脱するような違法は認められないとした事例
[所得税法][質問検査権・調査手続]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
2009/07/02 [所得税法][質問検査権・調査手続] 請求人は、原処分に係る調査を担当した職員が身分を明らかにせず客になりすまし請求人の承諾を得ることなく従業員に対して事業内容等を質問した行為は、所得税法第234条第1項及び同法第236条に違反し違法である旨主張する。
しかしながら、税務官署として更正・決定の場合のみならず、それ以外の場合にあっても、一定の処分をするか否かを認定判断する必要がある場合には、税務職員にはそのために必要な範囲内で質問検査によることなく職権による調査をすることもできると解されるところ、その具体的な手法は、その調査の必要性と相手方の私的利益との比較衡量において、質問検査に至らない範囲で、かつ、社会通念上相当な限度にとどまる限り、調査を担当する税務職員の合理的な裁量に任されているというべきであり、本件においては、調査担当職員は、請求人の経営する店舗に臨場する日の前に、客として同店舗に訪れ、従業員との話の中から1日の客数や従業員数等の業務様態についての情報等を収集したものであるが、これは調査担当職員が、請求人の正しい所得を把握するため、質問検査に至る前段階として、必要な情報を収集したというべきものであり、その情報収集の方法は、社会通念上相当な限度にとどまっていると認められ、これについて合理的な裁量の範囲を逸脱するような違法は認められないから、調査が違法であるとの請求人主張は採用できないというべきである。
平成21年7月2日裁決
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