親族を非常勤役員にして節税

親族を非常勤役員にして節税する。社会保険の削減や役員報酬、役員退職金飲食代などについて。
【情報登録】
【カテゴリ】法人税
[スポンサード リンク]

親族を非常勤役員にして節税する

 同族会社の場合、親族を役員にすることで、様々な節税対策が可能となります。

 兼務状況や職務内容などによって常勤役員と非常勤役員に区別されますが、常勤役員になるには一定の要件が必要とされます。また、常勤役員であれば、社会保険の加入義務が生じるので、親族本人や会社の負担が増加します。
 そこで、親族を非常勤役員にすることを検討します。

 親族を非常勤役員にする主なメリットは以下の通りです。
  1. 所得の分散効果を狙って役員報酬を支給する。
  2. 社会保険の負担が増えない。
  3. 役員退職金や役員弔慰金を支給することができる。
  4. 飲食代等の損金算入範囲が広がる。

非常勤役員の役員報酬で節税する

 親族に所得を分散させれば、一般的に所得税率を下げることが可能になるので、節税に繋がります。

 非常勤役員に対して月次報酬(定期同額給与)を支払うことも可能ですが、諸事情により年1回しか支払うことができないケースも考えられます。この場合、原則的に損金算入できませんが、事前確定届出給与を活用することで損金算入が可能となります。
 事前確定届出給与について詳しくは、役員報酬(事前確定届出給与)で節税をご確認ください。
役員報酬(事前確定届出給与)で節税
事前確定届出給与を役員賞与のように活用して節税する。事前確定届出給与の要件や注意点。

 なお、役員報酬を毎月支給する場合は、役員報酬(定期同額給与)で節税をご確認ください。
役員報酬(定期同額給与)で節税
給与所得控除を活用して役員報酬(定期同額給与)で節税する。社会保険の負担増や、法人税と所得税の実効税率の差に注意が必要。

非常勤役員で社会保険料を削減する

 社会保険は労使折半なので、家族経営の同族会社にとっては負担は大きくなります。ところが、非常勤役員であれば、役員報酬を支給しても社会保険を支払う必要はありません。

 ただし、業務執行権がある人、すなわち代表取締役という役職がある場合は、非常勤役員になることは絶対にできません。(逆に、このことを利用して社会保険を削減することも可能です)

 また、毎月決められた業務がある場合、勤務日数にかかわらず、非常勤役員になれない可能性があります。この他、代表取締役でなくても、実質的に業務執行権を持っていれば、非常勤役員になれない可能性があります。
 非常勤役員に該当するか否かが明確でない場合、役員報酬を毎月支給するのではなく、事前確定届出給与を活用して年数回だけ支給することをお勧めします。社会保険事務所に対しては、「役員報酬を毎月支給していない」=「非常勤」と、明快に説明することができます。

 なお、常勤と非常勤を区別するにあたり、報酬額の多寡は全く関係ありません。非常勤役員の役員報酬を多くしても問題ないのです。ただし、他の常勤役員の役員報酬とのバランスを考慮する必要はあります。

非常勤役員の役員退職金で節税する

 非常勤役員に対して、役員退職金や役員弔慰金を支払うことが可能です。退職所得は税制優遇されていますし、役員弔慰金については一定の要件を満たせば相続税の対象外となるので、両者とも節税対策として優れています。
 役員退職金等について詳しくは、役員退職金(役員慰労金)で節税役員弔慰金で節税をご確認ください。
役員退職金(役員慰労金)で節税
退職所得控除を活用して役員退職金で節税する。死亡退職金で相続税を節税。役員退職金で節税するには、役員退職慰労金規程の作成と適切な運用をお勧めします。
役員弔慰金で節税
役員死亡時には役員弔慰金で節税する。役員弔慰金で節税するには、役員退職慰労金規程の作成と適切な運用をお勧めします。

非常勤役員の飲食代等で節税する

 一定の要件に合致すれば、非常勤役員の飲食代や旅費交通費などを損金算入することが可能です。
 会社の必要経費(損金)は増えるので法人税の負担は減る反面、非常勤役員の役員報酬に含まれないため所得税や社会保険の負担は増えません。節税対策として非常に優れています。

 詳しくは、飲食代を経費化して節税社員旅行(福利厚生規程)で節税等をご確認ください。
飲食代を経費化して節税
飲食代を経費化して節税する。会議費や交際費、旅費交通費、福利厚生費になるかもしれません。
社員旅行(福利厚生規程)で節税
社員旅行で節税する。確実に必要経費とするために福利厚生規程で明文化(サンプル付き)。
会議費で節税
会議費で節税する。交際費と異なり費用上限がない反面、会議としての実態が必要とされる。
交際費で節税
交際費で節税します。損金算入される交際費(中小企業800万円)や、交際費の対象範囲等についても解説しています。
旅費規程で節税
旅費規程を作成して節税します。日当や宿泊料などを節税するためには、旅費規程の作成と適切な運用が必要です。

 ただし、あまりにも強引な行為は、同族会社の行為計算否認(法人税法第132条)により損金不算入とされる可能性があるのでお勧めしません。同族会社については、第3節 同族会社|法人税法をご確認ください。

退職金の税金計算ツール(所得税・住民税)

 退職金は分離課税なので、税金は天引きされます(所得税:源泉徴収、住民税:特別徴収)。また、退職金を受け取る際、勤務先に「退職所得の受給に関する申告書」を提出すると、退職所得控額等の優遇措置が適用されます。
税金シミュレーション
退職金:万円
勤続年数:
退職所得の受給に関する申告書: 
従業員/役員等:  (*役員等:法人役員・議員・公務員)

退職金の税金・差引支給額

項目金額備考
①退職金
②所得税源泉徴収
③住民税特別徴収
差引支給額①-②-③

関連するタックスアンサー

関連する裁決事例

関連する法令や通達等
法人税
法人税施行令
法人税施行規則
法人税基本通達
法人税:タックスアンサー
財産の評価:タックスアンサー

同じカテゴリの節税対策情報

青色申告(法人税)で節税 (2015/12/10 更新)
青色申告(法人税)で節税する。青色申告の義務や白色申告との違い(メリット)について。
青色申告(法人税:欠損金の繰越控除)で節税 (2015/10/21 更新)
青色申告をして欠損金の繰越控除や繰戻し還付で節税する。
青色申告(法人税:推計課税の禁止)で節税 (2015/10/21 更新)
青色申告(法人税:推計課税の禁止)で節税する。恣意的な推計課税を避けることができますが、青色申告の承認の取消しに注意を払う必要があります。
減価償却(中古資産)で節税 (2015/10/30 更新)
減価償却(中古資産)で節税する。耐用年数が短くなり、初年度に損金算入できる額が多くなる手軽な節税法。中古車のケースを例示。
減価償却で節税 (2015/12/17 更新)
減価償却で節税する。減価償却資産の取得価額が、10万円未満・20万円未満・30万円未満の場合の会計処理方法。
旅費規程で節税 (2015/10/20 更新)
旅費規程を作成して節税します。日当や宿泊料などを節税するためには、旅費規程の作成と適切な運用が必要です。
交際費で節税 (2015/10/28 更新)
交際費で節税します。損金算入される交際費(中小企業800万円)や、交際費の対象範囲等についても解説しています。
会議費で節税 (2015/10/28 更新)
会議費で節税する。交際費と異なり費用上限がない反面、会議としての実態が必要とされる。
経営セーフティ共済で節税 (2017/09/26 更新)
経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)で節税する。まとめて支払って前納減額金で得をする。退職金の原資として活用する。
生命保険(法人契約)で節税 (2015/10/29 更新)
生命保険(法人契約)で節税する。定期保険や終身保険の注意点。貯蓄型定期保険(経営者保険)と役員退職金を組み合わせて節税。
役員報酬(定期同額給与)で節税 (2015/10/20 更新)
給与所得控除を活用して役員報酬(定期同額給与)で節税する。社会保険の負担増や、法人税と所得税の実効税率の差に注意が必要。
従業員兼務役員で節税 (2015/12/04 更新)
従業員兼務役員で節税する。兼務役員になれないケースや労働保険の加入、従業員分の給料・賞与・退職金について。
役員報酬(事前確定届出給与)で節税 (2016/02/22 更新)
事前確定届出給与を役員賞与のように活用して節税する。事前確定届出給与の要件や注意点。
役員退職金(役員慰労金)で節税 (2015/12/07 更新)
退職所得控除を活用して役員退職金で節税する。死亡退職金で相続税を節税。役員退職金で節税するには、役員退職慰労金規程の作成と適切な運用をお勧めします。
役員退職金と経営者保険を組み合わせて節税 (2015/11/09 更新)
役員退職金と経営者保険を組み合わせて節税する。貯蓄型定期保険(低解約払戻金型保険等)と役員退職金の活用。デメリットや回避策(リスク軽減策)。
退職金(役員の分掌変更)で節税 (2015/11/08 更新)
退職金(分掌変更による退職)で節税する。役員に分掌変更があった場合の退職金で節税するには、役員退職慰労金規程の作成と適切な運用をお勧めします。
親族を非常勤役員にして節税 (2015/12/03 更新)
親族を非常勤役員にして節税する。社会保険の削減や役員報酬、役員退職金、飲食代などについて。
役員弔慰金で節税 (2015/11/05 更新)
役員死亡時には役員弔慰金で節税する。役員弔慰金で節税するには、役員退職慰労金規程の作成と適切な運用をお勧めします。
慶弔規程(福利厚生規程)で節税 (2015/11/02 更新)
慶弔規程(福利厚生規程)で節税する。社員の結婚祝金や出産祝金、香典、見舞金などで節税するには、慶弔規程の作成と適切な運用が必要です。
社員旅行(福利厚生規程)で節税 (2015/10/26 更新)
社員旅行で節税する。確実に必要経費とするために福利厚生規程で明文化(サンプル付き)。
飲食代を経費化して節税 (2015/10/27 更新)
飲食代を経費化して節税する。会議費や交際費、旅費交通費、福利厚生費になるかもしれません。
役員社宅で節税 (2015/10/22 更新)
役員用に社宅を借り上げて節税する。通常の賃貸料の計算式や固定資産税の課税標準を調べる方法、福利厚生規程に記載するサンプルなど。
従業員寮で節税 (2015/10/22 更新)
従業員用に寮(社宅)を借り上げて節税する。賃貸料相当額の計算式や固定資産税の課税標準を調べる方法、福利厚生規程に記載するサンプルなど。
退職金(従業員の役員昇格)で節税 (2015/11/06 更新)
退職金(従業員の役員昇格)で節税する。従業員が役員へ昇格した場合の退職金で節税するには、従業員退職金規程の作成と適切な運用をお勧めします。
法人の税額控除(研究開発)で節税 (2015/11/12 更新)
法人の税額控除(研究開発)で節税する。試験研究費や中小企業技術基盤強化税制に関する税額控除について。
法人の特別償却や税額控除(投資促進)で節税 (2015/12/16 更新)
法人の特別償却や税額控除(投資促進)で節税する。中小企業投資促進税制や環境関連投資促進税制、生産性向上設備投資促進税制に関する特別償却や税額控除について。
借入金で節税 (2015/12/07 更新)
借入金で節税する。無税で資金調達して節税をはかる。役員借入金の活用と注意点、相続税対策(贈与や放棄、資本組入れ等)について。
少人数私募債で節税 (2015/12/08 更新)
少人数私募債で節税する。少人数私募債のメリットや制限、役員退職金の原資、小分けして毎年贈与、信託して元本受益権を贈与、信託した元本受益権を小分けして毎年贈与。
法人の税額控除(雇用促進)で節税 (2015/12/17 更新)
法人の税額控除(雇用促進)で節税する。雇用促進税制や所得拡大税制に関する税額控除について。
[スポンサード リンク]

最速節税対策:人気ページランキング もっと見る



戦略的に節税するための無料ツール

一括節税計算機
※所得を入力して、税目別に税額を一括比較する
所 得万円 *必須
減少額万円 *任意  設定  消去
[対応税目]*法人税*所得税*消費税*相続税*贈与税*利子所得*配当所得*給与所得*退職所得*譲渡所得(土地)*譲渡所得(株式)*譲渡所得(総合)*一時所得*雑所得(年金)*雑所得(FX等)

*ご利用にあたっては利用規約を必ずご確認ください

このページを他の人に教える


ご意見ご要望をお聞かせ下さい

 過去のご意見ご要望については、ご意見ご要望&回答一覧で確認できます。

利用規約をお読み下さい

 本サイトのご利用にあたっては利用規約を必ずお読み下さい。

広告を募集しています

 本サイトでは掲載していただける広告を募集しております。詳しくは広告掲載をご覧ください。
新着情報 RSS
01/29 生命保険で節税
02/08 所得税の延納(利子税)で節税
09/26 経営セーフティ共済で節税
02/22 役員報酬(事前確定届出給与)で節税
02/19 不動産(再建築費評点基準表)で節税
新着情報を見る
節税対策ブログ
02/13 所得税確定申告で誤りの多い12項目(2019年度版)
01/29 死亡退職金の受取人(役員退職慰労金規程と相続税)
02/22 所得税確定申告で誤りの多い事例とは
02/02 クレジットカードポイント等の税務処理
02/01 ふるさと納税特産品と株主優待の税務処理
節税対策ブログを見る
アクセス数
今日:76
昨日:756
ページビュー
今日:90
昨日:1,477

ページの先頭へ移動