No.6497 仕入税額控除のために保存する帳簿の記載内容 |消費税
タックスアンサー(国税庁)
[平成27年4月1日現在法令等]
簡易課税制度を適用しない事業者が、仕入税額控除を受けるために保存することとなる帳簿の記載内容については、次のような取扱いとなっています。(注)
- (注) 電気通信回線(インターネット等)を介して、国内の事業者・消費者に対して行われる電子書籍・広告の配信等のサービスの提供(「電気通信利用役務の提供」といいます。)については、現在、国内の事務所等から行われるもののみ消費税が課税されていますが、平成27年10月1日以後、国外から行われるものについても、消費税が課税されることとされました。
この改正に伴い、次のとおり課税方式の見直し等が行われています。- (イ) 国外事業者が行う「電気通信利用役務の提供」のうち、「事業者向け電気通信利用役務の提供」(例:「広告の配信」等)について、当該役務の提供を受けた国内事業者に申告納税義務を課す「リバースチャージ方式」が導入されます(「リバースチャージ方式」に係る仕入税額控除のために保存する帳簿の記載事項については、「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税の見直し等に関するQ&A(平成27年5月)」(PDF/627KB)問28をご覧ください。)。
- (ロ) 国外事業者が行う「電気通信利用役務の提供」のうち、事業者向け電気通信利用役務の提供」以外のものについては、登録国外事業者から提供を受けたもののみ、国内事業者の消費税の申告において仕入税額控除が認められます(「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税の見直し等に関するQ&A(平成27年5月)」(PDF/627KB)問30をご覧ください。)。
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1 請求書等の記載内容と帳簿の記載内容の対応関係
請求書等に記載されている課税仕入れに係る資産又は役務の内容が一品ごとの詳細なもの(例えば、鮮魚店の場合であれば、「あじ○匹、いわし○匹、──」というような記載)であっても、帳簿には商品の一般的な総称でまとめて記載するなど、申告時に請求書等を個々に確認することなく仕入控除税額を計算できる程度に記載してあれば差し支えありません。
ただし、課税商品と非課税商品がある場合(例えば、ビールと贈答用ビール券)には区分して記載する必要があります。
(参考)
「課税仕入れに係る資産又は役務の内容」の記載例
・青果店………野菜、果実、青果又は食料品
・魚介類の卸売業者………魚類、乾物又は食料品
2 一取引で複数の種類の商品を購入した場合
一回の取引で、複数の一般的な総称の商品を2種類以上購入した場合でも、例えば、建設会社が文房具と飲料を購入したときのように、それが経費に属する課税仕入れである場合には、課税仕入れに係る資産又は役務の内容として、「文房具ほか」、「文房具等」と記載することで差し支えありません。
ただし、課税商品と非課税商品がある場合には区分して記載する必要があります。
3 一定期間分の取引のまとめ記載
課税期間の範囲内で一定期間分の取引について請求書等をまとめて作成する場合には、その請求書等に記載すべき課税仕入れの年月日については、その一定期間でよいこととされています。
これには、例えば、電気、ガス、水道水等のように継続的に供給されるもので、一定期間ごとに供給量を検針し、その結果により料金を請求するという取引の場合が該当しますが、このような取引に係る請求書等に基づいて帳簿を作成する場合には、課税仕入れの年月日の記載も同様の記載で差し支えありません。
また、例えば、同一の商品(一般的な総称による区分が同一となるもの)を一定期間内に複数回購入しているような場合で、その一定期間分の請求書等に一回ごとの取引の明細が記載又は添付されているときには、帳簿の記載に当たって、課税仕入れの年月日をその一定期間とし、取引金額もその請求書等の合計額を記載することで差し支えありません。
なお、一定期間とは「○月分」という記載でも差し支えありません。
4 仕入税額控除の要件としての帳簿代用書類の保存の可否
法人税法では、法定事項を帳簿に記載することに代えて、それらの記載事項の全部又は一部が記載されている取引関係書類を整理・保存すること(帳簿代用書類)を認めていますが、この帳簿代用書類は、消費税法第30条第8項《仕入れに係る消費税額の控除》に掲げる帳簿として扱われるものではありません。
したがって、帳簿代用書類が保存されていても、消費税の仕入税額控除のための帳簿については、記載すべき事項の全部又は一部が欠落していることになりますから、「帳簿及び請求書等の保存」があるとは認められないことになります。
ただ、帳簿代用書類のうち、課税仕入れの相手方から受け取ったものは通常「請求書等」に該当すると考えられますから、申告時にその書類を個々に確認することなく仕入控除税額を計算できる程度に課税仕入れに関する法定事項が帳簿に記載されていれば、その書類と帳簿を保存することで仕入税額控除の要件を満たすことになります。
5 伝票会計の場合の帳簿の保存
いわゆる伝票会計における伝票で消費税法第30条第8項各号《仕入税額控除に係る帳簿の記載事項》に規定する事項を記載したものは課税仕入れを行った事業者が自らその事実を記録したものですから、この伝票を勘定科目別、日付別に整理し、これに日計表、月計表等を付加した伝票綴りは同項に規定する「帳簿」に該当するものといえます。
したがって、その伝票綴りを保存する場合は、仕入税額控除の要件としての「帳簿の保存」があるものとして取り扱われます。
ただし、別途課税仕入れの相手方から交付を受けた請求書等の保存が、仕入税額控除を受けるために必要であることは、本来の「帳簿」を保存している場合と異なるものではありません。
6 帳簿に記載すべき氏名又は名称
課税仕入れの相手方については、その「氏名又は名称」を帳簿に記載することとされていますから、例えば、個人事業者であれば「田中一郎」等と、また、法人であれば「株式会社鈴木商店」等と記載することが原則です。
ただし、正式な氏名又は名称及びそれらの略称が記載されている取引先名簿が備え付けられていることなどにより課税仕入れの相手方が特定できる状況にある場合には、例えば「田中」、「鈴木商店」のような記載であっても差し支えありません。
また、飲食店であれば「日比谷食堂」、フランチャイズのコンビニエンスストアであれば「ABチェーン霞が関店」のような屋号等による記載であっても、電話番号が明らかであること等により課税仕入れの相手方が特定できる場合には、そのような記載で差し支えありません。
7 その他
仕入税額控除の適用を受けるためには、課税仕入れの事実を記載した帳簿の保存に加えて、請求書、領収書、納品書など取引の事実を証する書類も併せて保存することとされています。
(消法30、消令49)
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出典
国税庁ホームページ http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6497
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