適格退職年金制度廃止後に継続している退職年金契約|所得税
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
当社では、これまで生命保険会社と適格退職年金契約を締結しこれに基づき退職一時金及び退職年金の支給を行っており、平成24年3月31日をもって適格退職年金制度が廃止された後も、解約等を行わずに退職年金契約として継続しています。
この場合の退職年金契約に基づき、(1)当社が支出する保険料、(2)退職一時金、(3)退職年金について、所得税法上どのように取り扱われますか。
なお、本照会における適格退職年金契約は、法人税法附則第20条第4項ただし書に規定する一定の閉鎖型の適格退職年金契約には該当しないものとします。
【回答要旨】
適格退職年金契約に基づく一時金で退職により支払われるものは退職所得とみなされ(所得税法第31条第3号、所得税法施行令第72条第3項第4号)、退職年金は公的年金等に係る雑所得とされています(所得税法第35条第3項第3号、所得税法施行令第82条の2第2項第4号)。また、事業主が適格退職年金契約に基づき支出した保険料は、給与所得に係る収入金額に含まれないものとされています(所得税法施行令第64条第1項第3号)。
しかし、適格退職年金制度については、いわゆる閉鎖型で一定のものを除き、平成24年3月31日をもって廃止され、適格退職年金契約が平成24年4月1日以後も継続している場合には、適格退職年金契約に含まれないものとされていますので(法人税法附則第20条第4項)、一般の退職年金契約(生命保険契約等)として取り扱われることになります。
したがって、事業主が支出する保険料は使用人に対する給与所得に係る収入金額に含まれ(所得税法施行令第65条第2号)、退職時に支給される一時金は一時所得に該当し(所得税法第34条、所得税法施行令第183条第2項)、年金受給者に給付される退職年金は公的年金等以外の雑所得に該当することとなります(所得税法第35条第1項、所得税法施行令第183条第1項)。
なお、適格退職年金制度の廃止後において給与所得に係る収入金額とされた保険料相当額については、一時所得又は雑所得の金額の計算上、必要経費等として収入金額から控除されることになります(所得税法施行令第183条第1項、第2項)。
【関係法令通達】
所得税法第31条、第34条、第35条、所得税法施行令第64条、第65条、第72条、第82条の2、第183条、法人税法附則第20条
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/shotoku/02/48.htm
関連する質疑応答事例(所得税)
- 外貨建債券が償還された場合の償還差益及び為替差損益の取扱い
- 事業用固定資産の取得に伴う生命保険契約の保険料
- 父親が所有する家屋について増改築をした場合
- 地方公共団体が支給する少子化対策のための助成金等の所得税法上の取扱い
- 湯治の費用
- 社会保険診療報酬の所得計算の特例適用者が土地購入契約を解約したため返戻されないこととなった手付金
- 賃貸アパートに設置した太陽光発電設備による余剰電力の売却収入
- 事業主負担の保険料等の生命保険料控除の適用
- 連帯債務により家屋を取得し単独所有とした場合の借入金の額の計算
- 民法上の相続人が不存在の場合の準確定申告の手続
- 無痛分べん講座の受講費用
- 転任の命令に伴う転居その他これに準ずるやむを得ない事由
- 米国支店に出向中の従業員が税制適格ストックオプションを行使して取得した株式を譲渡した場合
- 防ダニ寝具の購入費用
- 生命保険料控除の限度額計算
- 転地療養のための費用
- 権利行使価額を「新株予約権発行の取締役会決議日の前日の終値」とした場合の税制適格の判定
- 生存給付金付定期保険に基づく生存給付金に係る一時所得の金額の計算
- バリアフリー改修工事を行った年の年末までに同居する高齢者等が死亡した場合
- 医師やナースセンターに対する贈物の購入費用
項目別に質疑応答事例を調べる
当コンテンツは、国税庁ホームページ利用規約に基づき、国税庁:質疑応答事例のデータを利用して作成されています。