賃貸アパートに設置した太陽光発電設備による余剰電力の売却収入|所得税
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
不動産賃貸業を営む個人Aは、賃貸アパートの屋上に太陽光発電設備を設置し、これにより発電した電力をその賃貸アパートの共用部分で使用し、その余剰電力を固定価格買取制度に基づき電力会社に売却しています。この余剰電力の売却収入の所得区分はどのように取り扱われますか。
【回答要旨】
照会の太陽光発電設備による余剰電力の売却収入は、不動産所得に係る収入金額に算入します。
給与所得者が自宅に太陽光発電設備を設置し、その余剰電力による売却収入を得ている場合、その所得区分は一般に雑所得と解され、また、事業所得者が事業所に当該設備を設置し売却収入を得ている場合、その所得区分は一般に事業所得(付随収入)と解されます。
ところで、賃貸アパートの共用部分で使用する電気料金は、不動産所得の金額の計算上、必要経費に算入されるものです。一方、照会の太陽光発電設備により発電された電力は、賃貸アパートの共用部分に使用されるため、太陽光発電設備を設置することにより共用部分の電気料金は減少し、その分不動産所得の金額の計算上必要経費に算入される金額も減少することになります。
このように、太陽光発電設備による発電が不動産所得の金額について増減させるものであることを踏まえると、その余剰電力の売却収入も不動産所得に係る収入金額に算入し、その所得金額を計算するのが相当と解されます。
なお、エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除(租税特別措置法第10条の2の2)は、事業所得の金額又は事業所得の金額に係る所得税額の計算における特例ですので、不動産所得を生ずべき資産である賃貸アパートに太陽光発電設備を設置し、その業務(事業)の用に供している場合には、これらの特例の適用を受けることはできません。
(注) 個人が行う太陽光発電であっても、平成24年7月以降、一定規模以上の太陽光発電設備により発電が行われる場合には、その送電された電気の全量について電力会社に売却することが可能とされています(全量売電)。
不動産賃貸業を行う個人が、賃貸不動産に太陽光発電設備を設置し、全量売電を行っている場合の売電収入は、上記のような不動産所得との関連性が認められないことから、それが事業として行われている場合を除き、雑所得に該当すると考えられます。
【関係法令通達】
租税特別措置法第10条の2の2
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/shotoku/02/46.htm
関連する質疑応答事例(所得税)
- 適格退職年金制度廃止後に継続している退職年金契約
- 無痛分べん講座の受講費用
- 白色事業専従者が他に給与所得を有する場合
- 住宅借入金等特別控除の再適用を受けるための手続(転居前における手続)
- かぜ薬の購入費用
- シロアリの駆除費用
- 居住用財産の譲渡所得の特別控除の特例等の適用を受ける場合の修正申告
- 出産のために欠勤した場合に給付される出産手当金
- トタンぶきの屋根を瓦ぶきにした場合
- 病院に支払うクリーニング代
- 確定給付企業年金規約に基づいて年金受給者が老齢給付金の一部を一時金で支給を受けた場合
- 歯列矯正料の収入すべき時期
- 一時払養老保険の保険金額を減額した場合における清算金等に係る一時所得の金額の計算
- 基準利率に達しない使用者からの借入金等
- 福利厚生団体の解散に伴う一時金
- 床面積の判定
- 企業内退職金制度の廃止による打切支給の退職手当等として支払われる給与(個人型の確定拠出年金制度への全員加入を契機として廃止する場合)
- 数年間にわたり支払を受ける保険金
- 借地人の費用負担で借地が宅地造成された場合の地主に対する課税
- 門や塀等の取得対価の額
項目別に質疑応答事例を調べる
当コンテンツは、国税庁ホームページ利用規約に基づき、国税庁:質疑応答事例のデータを利用して作成されています。