古都保存法第11条第1項の規定により土地等が買い取られる場合の租税特別措置法第34条の2,000万円控除の特例における「一の事業」の判定|譲渡所得
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
甲は、古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法(以下「古都保存法」といいます。)第6条の規定により定められたX市内のY歴史的風土特別保存地区(以下「本件特別保存地区」といいます。)内にA土地及びB土地を有していたところ、古都保存法第11条第1項の規定に基づき、X市によりA土地については平成○年に買い取られ(以下「平成○年買取り」といいます。)、一方、B土地については平成(○+2)年中に買い取られる(以下「本件買取り」といいます。)予定です。
ところで、古都保存法第11条第1項の規定により土地等が買い取られる場合には、租税特別措置法第34条の2,000万円控除の特例(以下「2,000万円控除の特例」といいます。)の適用対象となるところ、一の事業に係る買取りが2以上の年にわたって行われた場合には、これらの買取りのうち、最初に買取りが行われた年以外の年に行われた買取りについては、同特例は適用しないこととされています(措法34)。
平成○年買取り以降本件特別保存地区の変更はないことから、本件買取りと平成○年買取りは一の事業に係る買取りに該当するとして、本件買取りについては2,000万円控除の特例を適用することはできないこととなるのでしょうか。
【回答要旨】
古都保存法においては、国土交通大臣は、歴史的風土保存区域の指定をした場合には歴史的風土保存計画を決定しなければならない(古都保存法5)とされ、当該保存計画に基づき都市計画に歴史的風土特別保存地区を定めることができる(同法6)とされていることから、一の歴史的風土特別保存地区を歴史的風土保存計画に基づく一の事業の施行地とみるのが相当です。
したがって、古都保存法第11条第1項の規定による買取りの場合、原則として、一の歴史的風土特別保存地区内での買取りを一の事業に係る買取りとみて2,000万円控除の特例の適否を判定するのが相当であることから、照会の場合は、平成○年買取り以降本件特別保存地区の変更はないことを前提とすれば、本件買取りは最初に買取りが行われた年(平成○年)以外の年に行われた買取りに該当することとなるため、2,000万円控除の特例の適用はありません。
【関係法令通達】
租税特別措置法第34条第2項第3号、第3項
古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法第5条、第6条、第11条第1項
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/joto/15/03.htm
関連する質疑応答事例(譲渡所得)
- 買換資産を居住の用に供した後に譲渡した場合の租税特別措置法第41条の5第4項の適用の可否
- 仮換地指定の変更があった場合の「仮換地指定があった日」の判定(16号)
- 保証債務の履行に伴う求償権の行使不能額
- 当事者の申出に基づく仮換地の指定替え
- 庭園の一部である樹木等を譲渡した場合の課税関係
- 物納のために相続財産を交換した場合の相続税額の取得費加算の特例(平成26年12月31日以前に相続等により取得した土地等を譲渡した場合)
- エンジェル税制の適用対象となる株式会社と特例有限会社
- 権利変換期日前での申告の可否及び被相続人が先行取得した資産を代替資産とすることの可否
- 土地譲渡類似株式等の譲渡に該当するかどうかの判定と土地保有会社の株式
- 預託金制のゴルフ会員権が分割された場合の取得価額等
- 耕作権が三者契約により収用の対償に充てるために買い取られる場合
- 市施行の土地区画整理事業における換地不交付の申出に係る清算金と軽減税率の特例(1号)
- 後発的な事情により事業計画の変更があった場合
- 租税特別措置法第37条第2項に規定する買換取得資産である土地の面積制限
- 寄附者等に対する特別な利益の供与があった場合
- 事業用資産に該当するかどうかの判定
- 競売に係る譲渡資産の課税時期
- 居住用家屋を取り壊し、跡地に区画形質の変更を加えて譲渡した場合
- 法人の機関の構成が親族等制限規定に抵触する場合
- 寄附財産が受贈法人の公益目的事業の用に直接供されているかどうかの判定
項目別に質疑応答事例を調べる
当コンテンツは、国税庁ホームページ利用規約に基づき、国税庁:質疑応答事例のデータを利用して作成されています。