事業計画の変更による再度の漁業補償金について5,000万円控除の特例の適用の可否|法人税
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
一の収用事業のために資産の譲渡が2以上の年にわたって行われた場合の租税特別措置法第65条の2((収用換地等の場合の所得の特別控除))の規定による5,000万円控除の特例については、最初の年に譲渡した資産についてのみ適用され、2年目以後に譲渡した資産については適用されないこととされていますが(租税特別措置法第65条の2第3項第2号)、事業の施行地について計画変更があり、その事業の施行につき合理的と認められる事情があるときは、拡張された地域については別事業として同要件を判定するものと取り扱われています(租税特別措置法関係通達(法人税編)65の2−10)。
ところで、××川水系における導水事業においては、近年の人口増加に伴う水道水の需要が著しく増大していることに対処するため、××大堰からの取水量を増加する実施計画の変更認可が行われました。この事業の当初の実施計画の認可は25年前に行われており、当時、漁業権の価値の減少に伴う漁業補償金が支払われていますが、今回の計画変更により、河川の水量の減少、流況の変化等による魚類の生息環境の悪化、取水口への魚類の迷入の増加等により漁業権の更なる価値の減少があることによる漁業補償金(総額3億円)が支払われます。
この事業計画の変更は、上記の取扱いのような事業施行地の拡張はありませんが、この取扱いに準じて別事業として取り扱い、5,000万円控除の特例を適用することができると解して差し支えありませんか。
(注) 当初の実施計画により漁業権が消滅した地域については、今回の補償対象から除外されています。
【回答要旨】
照会意見のとおりで差し支えありません。
ただし、今回の補償の対象となる漁業権の減少部分と前回の補償の対象となった漁業権の減少部分との重複の有無に留意する必要があります(重複する部分がある場合、その重複部分については租税特別措置法第65条の2の規定の適用を受けることはできません。)。
(理由)
漁業権は収用することができる権利であり(土地収用法第5条第3項)、この点については上記取扱いにおける事業計画の変更により拡張された地域の土地と同様と考えられます。
当該事業計画の変更は当初計画から25年が経過しており、当時予測できない状況の変化に対処する合理的なものであると認められます。
今回の補償額の算出方法は、計画変更に伴う漁業権の価値の減少に対応するものと認められます。
【関係法令通達】
租税特別措置法第65条の2第3項第2号
租税特別措置法関係通達(法人税編)65の2−10
土地収用法第5条第3項
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hojin/28/06.htm
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