公益法人等が普通法人に移行した場合の法人税の取扱い(特例民法法人)|法人税
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
当法人は、公益法人制度改革3法(注)が平成20年12月1日に施行される前の民法(以下「旧民法」といいます。)第34条の規定に基づき財団法人として設立され、同日以後は特例民法法人に該当していましたが、今般、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律の規定による一般財団法人への移行の登記を了しました。当法人は、法人税法第2条第9号の2に定める非営利型法人には該当しないことから、今後は、全所得課税される普通法人として取り扱われることとなります。
ところで、公益法人等が普通法人に該当することとなった場合には、過去の収益事業以外の事業から生じた所得の累積額(以下「累積所得金額」といいます。)を益金の額に算入しなければならないと聞きました。
この取扱いは、当法人のように特例民法法人に該当した後に、普通法人として全所得課税される一般財団法人へ移行した法人にも適用があるのでしょうか。
(注) 公益法人制度改革3法とは、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」、「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」及び「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(以下「整備法」といいます。)」をいいます。
- 社員等に対する剰余金の分配を目的としない社団又は財団であって、準則主義により簡便に法人格を取得することができることを特徴とする一般社団法人・一般財団法人
- 一般社団法人・一般財団法人のうち、民間有識者からなる委員会の答申に基づき、行政庁による公益性の認定を受けた公益社団法人・公益財団法人
【回答要旨】
貴見のとおり、特例民法法人に該当した後に、普通法人として全所得課税される一般財団法人・一般社団法人へ移行した法人も適用があります。
(理由)
1 新たな公益法人制度下において、法人区分ごとの課税所得の範囲は次表のとおりとされており、法人区分が変更となる場合には課税所得の範囲が異なることとなります。
このため、一般社団法人・一般財団法人又は医療法人で公益法人等に該当する内国法人が普通法人に該当することとなった場合には、その該当することとなった日(移行日)の前後で事業年度を区分するとともに(法法14二十)、移行日前の収益事業以外の事業から生じた所得の累積額として計算した金額(累積所得金額)又は移行日前の収益事業以外の事業から生じた欠損金額の累積額として計算した金額(累積欠損金額)を、当該普通法人の移行日の属する事業年度の所得の金額の計算上、益金の額又は損金の額に算入することとされています(法法64の4)。
法人区分 | 法人税法上の取扱い | 課税所得の範囲 | |
---|---|---|---|
公益社団法人・公益財団法人 | 公益法人等 | 収益事業から生じた所得(公益目的事業は非課税) | |
一般社団法人 一般財団法人 | 非営利型法人(※) | 公益法人等 | 収益事業から生じた所得 |
非営利型法人以外の法人 | 普通法人 | すべての所得 | |
特例民法法人 | 公益法人等 | 収益事業から生じた所得 |
(※) 非営利型法人とは、法人税法第2条第9号の2に規定する法人をいいます。
2 上記1の取扱いの適用対象者は、次図のとおりです。
3 ところで、旧民法第34条の規定により設立された社団法人又は財団法人で整備法第40条第1項の規定により一般社団法人又は一般財団法人として存続するもののうち、新たな法人への移行の登記をしていないもの(特例民法法人)は、公益法人制度改革3法の施行後5年間の移行期間中に、行政庁の認可を受けて一般社団法人・一般財団法人に移行する、又は行政庁の認定を受けて公益社団法人・公益財団法人に移行することとされ、この移行するまでの間は、名称、定款等も変更の必要がなく、主務官庁による監督も継続することから、法人税制上も改正前の課税関係を維持することとされていました。すなわち、特例民法法人は、法人税法上「公益法人等」とみなされて収益事業課税が適用されていました(所得税法等の一部を改正する法律(平成20年法律第23号)附則10)。
4 したがって、上記1の取扱いにおいても、公益法人等には特例民法法人が含まれることとなり、特例民法法人が普通法人として全所得課税される一般社団法人・一般財団法人に移行する場合にも適用されることとなります(所得税法等の一部を改正する法律(平成20年法律第23号)附則10)。
【関係法令通達】
- 法人税法第2条第9号の2、第64条の4第1項
- 所得税法等の一部を改正する法律(平成20年法律第23号)附則第10条第1項、第3項
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hojin/26/02.htm
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