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住宅瑕疵担保責任保険の保険料等に係る税務上の取扱い|法人税

[住宅瑕疵担保責任保険の保険料等に係る税務上の取扱い]に関する質疑応答事例。

質疑応答事例(国税庁)

【照会要旨】

 新築住宅の発注者及び買主を保護するため「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」が平成21年10月1日から施行され、施行後において新築住宅の引渡しをする建設業者又は宅地建物取引業者(以下「建設業者等」といいます。)は、資力確保措置(住宅瑕疵担保責任保険への加入又は保証金の供託)が義務付けられました。
 この度、A建設業者は、資力確保措置として住宅瑕疵担保責任保険に加入することとしましたので、保険法人に検査手数料と保険料を支払うこととなりますが、この検査手数料と保険料に係る法人税及び消費税の取扱いについて、それぞれ次のとおり照会いたします。

1 検査手数料は、法人税法上、構造雨水検査を完了した日を含むA建設業者の事業年度において損金の額に算入することとなると解して差し支えありませんか。また、消費税法上、構造雨水検査を完了した日を含むA建設業者の課税期間における課税仕入れとなると解して差し支えありませんか。

[検査手数料とは]
 住宅瑕疵担保責任保険を引き受ける保険法人は、対象となる新築住宅に係る契約の開始前に必要な検査(以下「構造雨水検査」といいます。)を行うことが要件とされています。ここにいう検査手数料とは、建設業者等が支払う構造雨水検査を行うことに対する対価をいいます(最低4,000円程度から床面積等に応じて金額が定められています。なお、共同住宅の場合は1棟単位で検査が実施されています。)。

2 保険料(以下「本件保険料」といいます。)は、保険期間(10年間)に係るものを一括して支払うものであり、法人税法上、保険期間の経過に応じて損金の額に算入することとなると考えられますが、継続適用を前提とすれば、その全額(10年分)を保険期間の開始日を含むA建設業者の事業年度において損金の額に算入することができると解して差し支えありませんか。また、消費税法上、保険料は非課税であることから、A建設業者の課税仕入れに該当しないと解して差し支えありませんか。

[本件保険料とは]
 住宅瑕疵担保責任保険の保険期間は10年間であり、建設業者等が新築住宅を引き渡した日から保険期間が開始することとなります。ここにいう本件保険料とは、建設業者等が支払うこの保険期間に係る保証の対価をいいます(3万円から20万円までの範囲で1戸ごとの床面積等に応じて定められています。)。ただし、住宅瑕疵担保責任保険契約は、国土交通大臣の承認を受けた場合を除き中途解約ができませんので、保険期間開始後は本件保険料が返戻されることはありません。

【回答要旨】

 照会事項に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおり解して差し支えありません。

(理由)

1 検査手数料の取扱い

  1. (1) 法人税について
     検査手数料は、住宅瑕疵担保責任保険に係る保険契約を締結するに当たり必要な費用ではあるものの、本件保険料とは明確に区分された構造雨水検査という役務提供の対価と認められますから、構造雨水検査を完了した日を含むA建設業者の事業年度において損金の額に算入することが相当です。
  2. (2) 消費税について
     消費税は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供を課税の対象としています(消法2八、4)。
     検査手数料は、保険法人が構造雨水検査を行った対価として建設業者等から徴するものですので、役務の提供の対価に該当し、消費税の課税の対象となります。
     したがって、A建設業者においては、役務の提供を受けた日、すなわち構造雨水検査を完了した日を含む課税期間における課税仕入れとなります。
     なお、消費税法第30条第2項第1号に規定する個別対応方式により仕入控除税額の計算を行う場合には、同号イに規定する課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れとなります。

2 本件保険料の取扱い

  1. (1) 法人税について
    イ 本件保険料は、次に掲げる点からすれば、新築住宅の売上に対応した売上原価に該当するのではないかとの疑問が生ずるところです。
    1.  新築住宅の発注者等への引渡しに先んじて支払うものであり、結果として新築住宅の代金として発注者等に転嫁され、発注者等も新築住宅の代金に本件保険料が含まれていることを承知していること。
    2.  新築住宅に瑕疵が判明した場合には、結果的に発注者等がその所有する物件について修復等のサービスが受けられること。
    ロ この点、本件保険料は、将来において新築住宅に瑕疵が判明した場合に、A建設業者において必要となる修復や損害賠償などに必要な費用を保険金によってカバーするために支払うものであり、A建設業者が営む事業において将来に生ずる可能性のあるリスクに備えるためのものと認められますので、原則として、火災や事故が生じた場合に備える損害保険に係る保険料と同様に販売費や一般管理費等としてその保険期間の経過に応じて損金の額に算入すべきもの(前払費用)と解されます。
    ハ ただし、本件保険料については、次に掲げる点を踏まえれば、A建設業者がその全額(10年分)を継続して保険期間の開始日を含む事業年度において損金の額に算入している場合には、この処理を認めることとして差し支えありません。
    1.  個々の保険契約に係る本件保険料の支払は、10年間という保険期間に対応する一括支払であるにもかかわらず、3万円以上20万円未満(1年当たりに換算すれば3千円以上2万円未満)と新築住宅の代金に比して非常に少額な保険料であること。
      (注) 原則どおり、本件保険料を保険期間に応じて損金算入するならば、例えば3月決算である建設業者等が10月に新築住宅を発注者等に引き渡し、この新築住宅に対する本件保険料3万円を支払っている場合、その引渡しの日の属する事業年度においては、3万円を10年で除し、これに12分の6を乗じた1,500円を損金の額に算入することとなります。
    2.  建設業者等においては、発注者等に引き渡す新築住宅(共同住宅にあっては1戸)ごとに契約を締結するため膨大な数の保険契約を締結することになること。
    3.  建設業者等においては、毎期おおむね一定数量の新築住宅の引渡しを行い、その引渡しごとに本件保険料の支払が生ずるところ、このような本件保険料について、その引渡しの日(保険期間の開始日)に損金算入する経理処理を行ったとしても、その計算が継続する限り毎期の所得計算がそれ程ゆがめられるとはいえないこと(むしろ、重要性の原則に則った円滑な経理処理が可能となること。)。
    4.  さらに、上記ロのとおり、原則として前払費用に該当するものと解されますが、上記イのとおり、売上原価に類似する性格を併せて有する費用とも考えられること。
  2. (2) 消費税について
     消費税法では、資産の譲渡等のうち消費税法別表第一に掲げる資産の譲渡等を非課税としており(消法6)、同別表第一第3号により保険料を対価とする役務の提供については非課税となります。
     本件保険料は、住宅瑕疵担保責任保険の保険料としてA建設業者が保険法人に支払うものですので、非課税となる保険料に該当します。
     したがって、A建設業者においては、課税仕入れには該当しません。
    (注) 保険契約の締結に至らなかった場合に保険法人が本件保険料から差し引く「事務手数料」は、保険契約の取消し等に伴う事務の役務提供の対価として受領するものですので、消費税の課税の対象となります。したがって、A建設業者においては、役務提供を受けた日、すなわち保険法人における保険契約の取消し等に伴う事務が完了した日を含む課税期間における課税仕入れとなります。

《参考》

○ 住宅瑕疵担保責任保険制度とは
 住宅瑕疵担保履行法の施行により導入された住宅瑕疵担保責任保険とは、新築住宅の建設業者等が国土交通大臣の指定する住宅瑕疵担保責任保険法人(保険法人)との間で保険契約を締結し、その新築住宅に保険契約の対象となる瑕疵が判明した場合において、建設業者等がその補修などにより瑕疵担保責任(特定住宅瑕疵担保責任)を履行したときに、その履行によって生じた建設業者等の損害が保険金により補てんされる制度です。

【関係法令通達】

 法人税法第22条第3項
 消費税法第2条第1項第8号、4条第1項、6条第1項、30条第2項第1号、消費税法別表第一第3号
 特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律

注記
 平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。

出典

国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hojin/18/04.htm

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