ゴルフ場について会社更生法の申立てがあった場合のゴルフ会員権に対する貸倒引当金の計上|法人税
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
ゴルフ場経営会社について会社更生法の規定による更生手続開始の申立ての事実があった場合、会員権を保有する法人は、当該ゴルフ会員権の帳簿価額の50%相当額を個別評価の貸倒引当金に繰り入れることができますか。
なお、当該法人は、法人税法第52条第1項第1号イの要件を満たす法人です。
【回答要旨】
ゴルフ場経営会社につき会社更生法の規定による更生手続開始の申立てが行われた場合でも、退会により施設利用権が失われない限りゴルフ会員権は金銭債権に該当しませんので、当該会員権の帳簿価額の50%相当額を個別評価による貸倒引当金に繰り入れることはできません。
(理由)
金銭債権に係る債務者につき会社更生法の規定による更生手続開始の申立てが行われた場合は、その金銭債権の額の50%相当額を個別評価による貸倒引当金に繰り入れることができることとされています(法人税法第52条第1項、法人税法施行令第96条第1項第3号)。
ゴルフ場経営会社について更生手続開始の申立てが行われた場合に、当該ゴルフ会員権についてこの規定が適用されるためには、ゴルフ会員権として処理していたものの全部又は一部が金銭債権としての性格を有するものである必要があります。
預託金制ゴルフクラブの会員権の法的性格は、会員のゴルフ場経営会社に対する契約上の地位であり、施設利用権、預託金返還請求権、年会費納入義務等を内容とする債権的法律関係であるといわれています(最高裁判所昭和61年9月11日第一小法廷判決)。
会員権に含まれている預託金返還請求権は、一定の据置期間経過後、退会(会員契約の解除)を条件にゴルフ場経営会社に対して預託金の返還を請求し得る金銭債権です。
預託金の拠出は、施設利用権を得るために必要不可欠なものとして拠出されるものですから、預託金返還請求権は、施設利用権と一体不可分となってゴルフ会員権を構成する権利であって、施設利用権が顕在化している間は潜在的・抽象的な権利にすぎません。
ゴルフ場経営会社につき会社更生法の規定による更生手続開始の申立てが行われた場合、更生手続は再建型の倒産処理手続であり、経営の継続を前提としており、会員契約は通常その手続の中では解除されないことからするとゴルフ場経営会社につき会社更生法の規定による更生手続開始の申立てが行われた場合でも、退会しない限りゴルフ会員権は金銭債権としての性格を有しているとはいえませんので、当該会員権の帳簿価額の50%相当額を個別評価による貸倒引当金に繰り入れることはできません。
【関係法令通達】
法人税法第52条第1項
法人税法施行令第96条第1項第3号
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hojin/09/01.htm
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